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 スピーカーに声をかけると、好きな音楽が聴けて、調べ物をしてくれる――。そんな「スマートスピーカー」の登場で、人工知能(AI)による音声認識や合成音声が身近になってきた。朝日新聞社の音声ニュース配信「朝日新聞アルキキ」も、スマートスピーカーで利用できる。AIの「声」で暮らしはどう変わるのか。野村総合研究所ビジネスIT推進部上級研究員の鷺森(さぎもり)崇さんに聞いた。

 ■スピーカーが音声を認識

 コンピューターやスマートフォンなどを使うとき、利用者はこれまでマウスをクリックしたり、画面を指でタップしたりしてきました。それが今、声による操作が利便性などの点で注目されています。

 わかりやすい例が、LINEの「クローバ ウェーブ」、グーグルの「グーグルホーム」、アマゾンの「エコー」といったスマートスピーカーです。日本では昨秋から本格的に販売が始まりましたが、先行する米国ではすでに、4千万台規模で普及しているという調査もあります。

 スマートスピーカーは「ウェイクワード」と呼ばれる特定の言葉で話しかけると、一定時間作動します。グーグルホームであれば、「OK グーグル」と言った後に「明日の天気は?」「スマートスピーカーって何?」などと聞けば、合成音声で答えてくれます。ニュースの読み上げ、音楽の再生、タイマーやアラーム設定もできます。

 スマートスピーカーが登場した背景には、音声認識技術の向上があります。「ディープラーニング」という機械学習の仕組みによって、人間の発声をより正しく認識できるようになりました。声の特徴を分析して誰が話しているのか識別し、声から喜びや怒りなどの感情を読み取ることも、一定程度は可能です。コールセンターにかかってくる電話や、マンション管理の簡単な相談などに、すでにこうした技術が使われています。

 そして近い将来、スマートスピーカーに限らず家電やロボットといったかたちで、家庭で音声AIが浸透していくでしょう。

 リビングでは、家電のオンオフや家族のスケジュール管理などを声でできるようになります。また、ロボットに話しかけて、重い荷物を運ぶ作業をしてもらう、というようなこともできるようになるでしょう。自動車も同じで、目的地探しや、万が一の際の保険会社への連絡などが容易になります。

 さらにAIによる「提案型」のやりとりも実現可能です。例えば、パソコンやスマートフォンで健康データを管理しておくと、日々のヘルスチェックや健康状態に応じた食事の提案などができます。お金の出入りを管理させれば、家計の相談もできそうですね。

 AIと自然な会話をするには、さらなる技術の進歩が必要ですが、研究は進んでいます。2年後の東京五輪の頃には、声でさまざまなことが体験できるようになっているでしょう。

 (聞き手・坂井浩和)

 ■「ニュース聞かせて」で再生

 「朝日新聞アルキキ」は、朝日新聞のベテラン編集者が選んだ記事を、聞き取りやすい合成音声で読み上げるスマートフォンアプリです。2016年4月にサービスを開始しました。朝の忙しい時間帯に、5分足らずで大事なニュースをまとめて聞くことができるアプリとして、ビジネスパーソンを中心に多くの利用者から高い評価を得ています。

 昨年秋からは、国内で発売されているスマートスピーカーでも聞けるようになりました。グーグルの「グーグルホーム」の場合、「OK グーグル、朝日新聞のニュースを聞かせて」と話しかけると、アルキキのニュースが再生されます。

 アマゾンの「エコー」の場合は、まずスマートフォンに「Amazon Alexa」アプリをダウンロード。そのアプリから「スキル」の画面を開いて、「朝日新聞アルキキ」と検索し、スキルを有効にします=図。その後は「アレクサ、今日のニュースは?」と聞けば、記事を読み上げてくれます。話しかけるだけなので、家事をしながらでも音声ニュースを聞くことができます。

 アルキキについてもっと詳しく知りたい方は、ウェブサイト(http://www.asahi.com/shimbun/medialab/arukiki/)でご覧ください。(穂積貴弘)

 ■シニア世代、行動のきっかけになる

 千葉県浦安市でシニア世代向けの「スマホ教室」を開き、著書に「いちばんやさしい60代からのiPhone」シリーズがある増田由紀さんに、スマートスピーカーの活用法や可能性について話を聞いた。

     ◇

 昨年11月、60~80代の方6人が通うクラスで、スマートスピーカーを使ってみました。「ただいま」と話しかけると、「お帰りなさい。お風呂に入りますか? それとも食事にしますか?」と返答があり、みなさん、会話ができることに興味津々でした。ニュースを聞けたり、音楽を聴けたりすることも好評で、結局、6人全員がスマートスピーカーを購入しました。

 私自身も家事などをしながら、スマートスピーカーでニュースを聞いています。頭に自然と入ってくるし、数千円で最先端の技術を体験できるのも楽しい。ただ、道案内などは、声だけだとまどろっこしく、買い物の注文もスマホの画面のほうが楽ですね。

 スマートフォンを持つシニア世代も増えていますから、スマホと組み合わせて、通り一遍でないやりとりができるといいかもしれません。例えば、日々の生活リズムをスマホに入力しておいて、スマートスピーカーに「おやすみ」と話しかけると、「最近寝不足ですね、ゆっくり休んで下さい」と答えてくれる。そんなやりとりができると、利用者ももっと愛着がわくのではないでしょうか。

 独り暮らしの高齢者が増えています。一日、だれとも話さないお年寄りもいます。スマートスピーカーに話しかけることで情報を得たり、会話を通してちょっとした心境の変化が起きたりすることが、行動するきっかけになる。暮らしの中でそんなふうに役立てば、シニア世代にも身近で便利な道具になると思います。(聞き手・坂井浩和)

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