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 関西電力の大飯原発3号機(福井県おおい町)が再稼働した。東京電力福島第一原発の事故後、新規制基準のもとで再稼働した原発は6基目だ。多くの課題が置き去りのままで、容認できない。

 大飯原発は若狭湾の大島半島突端にある。隣接する1、2号機は廃炉の方針だ。

 若狭湾には約14キロ西に高浜原発(同県高浜町)もあり、高浜3、4号機は昨年から運転している。福島の事故後、近接する複数の原発が同時に稼働するのは初めて。もし二つの原発が過酷事故を起こしたら住民はどう避難するのか。県が策定した避難計画にそうした想定はない。

 緊急時の安全確保策が不十分といわざるを得ない。

 放射能が大量に漏れれば、風速や風向きによっては深刻な被害が遠方にも及ぶ。それは福島事故の教訓だった。

 政府は原発から30キロ圏内の自治体に避難計画の策定を義務づけている。大飯原発の30キロ圏には約16万人が暮らし、過半数が京都府と滋賀県の住民だ。

 関電が再稼働への同意を得たのは福井県とおおい町のみ。関電や内閣府は、滋賀県などが開く住民説明会に出向くなど、一定の努力はしている。だが、30キロ圏の自治体の了解を得るよう努めるのが筋ではないか。

 福井県では今年2月、37年ぶりの豪雪で幹線の国道では約1500台の車が立ち往生した。解消には3日以上かかった。

 原発がある県南部は北部ほどの大雪ではなかったが、京都、滋賀への避難経路には山間部があり、雪の深い所もある。主な避難道は片側1車線だ。悪天候に原発事故が重なることへの懸念は強い。国や自治体は避難計画を検証すべきである。

 大飯3、4号機をめぐっては14年、福井地裁が地震対策の不備を認定し、運転差し止めを命じた。控訴審判決はまだ出ていない。関電が「2018年中に計画地を示す」と明言した使用済み核燃料の中間貯蔵施設も、具体化していない。

 関電は再稼働で収益が改善し、電気料金の値下げや競争力向上につながるという。そんな目先の計算ではなく、放射性廃棄物の処理費用なども勘案し、再稼働の要否を慎重に吟味する姿勢こそ、企業が本来果たすべき社会的責任である。

 今後は九州電力玄海3号機なども再稼働の予定だ。節電の定着で、原発がなくても深刻な電力不足が心配される状況にはない。再稼働で消費者の信頼を得られるのか。国や電力会社は立ち止まって再考すべきだ。

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