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 第43回木村伊兵衛写真賞の受賞者が、小松浩子(こまつ・ひろこ)さん(48)と藤岡亜弥(ふじおか・あや)さん(46)に決まりました。対象作は、小松さんが展示「人格的自律処理」ほか、藤岡さんが写真集「川はゆく」(赤々舎)ほかです。

 昨年優れた作品を発表した新人写真家が対象です。小松さんと藤岡さんには賞状と賞牌(しょうはい)、副賞50万円を贈ります。

 選考の詳細はアサヒカメラ4月号(3月20日発売、一部地域は遅れます)で紹介します。授賞式は4月24日に東京・竹橋の如水会館で。受賞作品展を同日から「ニコンプラザ新宿 THE GALLERY 1」で、6月14日から「ニコンプラザ大阪 THE GALLERY」で開催します。

 本賞は、写真家の故木村伊兵衛氏の業績を記念し、1975年に創設しました。選考委員は石内都、鈴木理策、ホンマタカシの3氏と作家の平野啓一郎氏です。

 朝日新聞社、朝日新聞出版

 ■埋め尽くす「衝撃」

 東京都在住の小松浩子さん(48)は、工場の資材置き場で撮った写真を壁や床に貼ったり、天井からつり下げたりして、空間を埋め尽くした展示などで受賞した。鑑賞者は、プリントを踏みながら展示を見ることになる。選考委員からは「衝撃的」「写真表現の可能性が広がってゆくうえでよかった」と評された。

 30代で写真を始め、何を撮るか模索していた頃、町工場の片隅に積まれた資材に心を奪われた。「社会構造の最も基盤となるものたちが、むき出しになっている場だ」と感じたという。

 何かに組み立てられていく資材が写っていても、「廃墟(はいきょ)」だと思われることがあるという。「人間も物も死に向かって進んでいる。写真も劣化する。展示には、そんな多様な時間の流れを組み込んでいる」

 ■広島、メモする感覚

 藤岡亜弥さん(46)は、出身地の広島県に住む。広島市内のアパートで生活しながら、町を歩き日常を撮ったスナップをまとめた写真集などで受賞した。

 事前にテーマを定めずに面白いと思ったものを撮ってきたが、広島に向き合う時、「わかりやすい『ヒロシマ』のイメージにはしたくない」と強く意識した。原爆ドームの前で、吹っ飛ばされるようなポーズを取る制服姿の女子生徒たちの写真があるかと思えば、藤岡さんが住んでいた部屋を写したものもある。

 平和教育で戦争や原爆を学んだが、実際には戦争を知らない世代。「わからないこと」を大切に、「今の広島の姿をメモをするように撮った」という。選考委員からは「広島出身の作者が、まさに撮るべきものを撮った」と評価された。

 (丸山ひかり)

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