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 財務省が森友学園との国有地取引に関する決裁文書を改ざんしていた問題で、参院予算委員会の集中審議が行われた。

 首相は「書き換え前の文書を見て、私や妻が払い下げや学校の認可に関与した事実はなく、関わったことにならないのは明らかだ」と繰り返したが、理解に苦しむ。

 本紙の直近の世論調査では、こうした首相の説明に「納得できない」と72%が答えたが、首相は言いぶりを変えなかった。

 改ざん前の文書には、学園側から「安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と伝えられたと記されていた。

 首相は、昭恵氏は学園の籠池泰典前理事長に指示する立場にないとして「そういうことを言うはずがない」と答えたが、これも説得力を欠く。

 「安倍首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が(新聞社のインターネットの記事に)記載される」との記述もあった。同じページには3人の政治家の名も書かれていたが、いずれも改ざんによって削られた。

 なぜ国会議員でもない昭恵氏の動向が決裁文書に書いてあるのか。予算委でそう問われた財務省の太田充・理財局長は「それは基本的に総理夫人だということだと思う」と答えた。

 昭恵氏の影響力を認めたとも取れる発言だが、首相は決裁文書の記載について「公開情報を事実として淡々と述べているのだろう」と述べた。

 問題の核心の一つは、格安の国有地売却の背景に何があったのかだが、首相から聞きうることには限界があるようだ。

 ならば当事者を国会に呼び、話を聴くしかない。昭恵氏はもちろん、学園との連絡を担った首相夫人付の政府職員、売却交渉時に理財局長だった迫田英典氏らの証言は欠かせない。

 もう一つの注目点は「私や妻が関係していたということになれば首相も国会議員も辞める」という昨年2月の首相答弁が改ざんの動機だったのか否かだ。

 この件では太田局長が先週の予算委で「政府全体の答弁は気にしていた」と述べ、首相答弁の影響を否定しなかった。

 改ざん当時の理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)氏だけでなく、他の財務省幹部や近畿財務局職員らからも事情を聴く必要がある。

 「行政府の最高責任者として責任を痛感する」と首相は繰り返す。ならば立法府による調査に誠実に、全面的に協力する責任が首相にはある。

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