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 ロシアの大統領選でプーチン氏が4選を決めた。首相を務めた4年間も含め、24年間もの長期政権を手にした。個人の権威に頼る独裁的な統治が、いっそう強まることが懸念される。

 得票率76%超の圧勝とされるが、選挙は形だけのものだった。最も人気が高い野党指導者は、国策捜査が疑われる事件で有罪となり、閉め出された。

 プーチン氏は他の候補者との討論会を欠席しながら、国内の各地で集会を開き続けた。それを政府の支配下にある主要テレビ局が大きく報じた。

 ただ、選挙が公正に行われても、当選は動かなかっただろう。プーチン氏に投票した50代の男性は「ロシアを世界の笑い物から無視できない国に変えてくれた」。広く国内で共有されている感覚といえる。

 だが、国際的には孤立が深まっている。2014年には隣国ウクライナの混乱に乗じてクリミア半島を併合した。最近の演説では、核戦力を振りかざして「ロシアの言うことを聞け」と国際社会に迫った。いずれも、世界の秩序に責任を負う国連安保理常任理事国として、極めて不適切なふるまいだ。

 「強いロシア」を強調するプーチン氏の選挙戦術は、ロシアが置かれる現実から国民の目をそらす効果があった。英国で起きた二重スパイ暗殺未遂事件さえ、国民の結束に利用した。

 4選を決めた今、こうした危険な路線からの転換が求められる。まずは欧米を含む外国との建設的な協力関係を立て直すことだ。朝鮮半島や中東の正常化には、ロシアの建設的な関与が不可欠だ。米国との間では、核軍縮に向けた真剣な対話を始める責任が双方にある。

 内政のひずみは深刻だ。議会やメディアなど政権を監視すべき機関がすっかり骨抜きにされた。同性愛者差別やネット規制など、自由の制限も進む。経済面では、天然資源の輸出に頼る長年の構造的な問題を克服できていない。

 憲法の規定でプーチン氏は6年後の次回選挙に立候補できない。それまでに民主的で公正な競争により国民が次の指導者を選べる環境を整えるべきだ。

 外敵の存在を連呼し、「自分以外ではロシアは治まらない」と危機感をあおる統治を続けるなら、国内改革は滞り、国際的な孤立からも抜け出せない。

 日本政府も対ロ外交を再考すべきだ。平和条約を急ぐあまり国際的な懸念に目をつむり、相手の歓心を買うことだけを考えるような姿勢では、長期的に日ロ関係のためにならない。

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