[PR]

 九州電力の玄海原発3号機が、きょうにも再稼働する。今月中旬には関西電力の大飯原発3号機が運転を再開しており、東京電力福島第一原発の事故後に導入された新規制基準での再稼働は7基目となる。

 大事故が起きたとき、周辺の住民は安全に逃げられるのか。避難計画を作る関係自治体すべての同意を得ないままでよいのか。そもそも、原発を動かす必要性がどれほどあるか。

 今の再稼働手続きをめぐるあいまいさや不備を放置したまま、「原発回帰」がなし崩しで進む構図は、玄海原発にくっきりと表れている。再稼働は容認できない。

 玄海原発は地形が複雑な半島部にあり、周辺には島も多い。自治体が避難計画の策定を義務づけられる30キロ圏内には約26万人が住む。事故の直後には道路渋滞や避難用の船の不足など、大きな混乱が予想される。

 地元の不安は根強い。30キロ圏にある3県の8市町のうち、長崎県壱岐市など4市が昨年、避難の難しさなどを理由に再稼働に反対を表明した。にもかかわらず、地元の同意手続きでは蚊帳の外に置かれた。

 電力会社との安全協定に基づく「同意権」を持つのは、県と原発が立地する市町村に限られるからだ。玄海原発では佐賀県知事と玄海町長が同意した。

 大事故が起きれば被害は県境を越えて広がるのに、一部の自治体が「よそからの反対には関知しない」と言わんばかりの姿勢で再稼働を認め、電力会社も政府も「地元の理解を得た」と歓迎する。こんな進め方で、住民の不安が拭えるはずもない。再稼働の既成事実をいくら積み重ねても、原発政策への国民の不信は根強いままだろう。

 民主的な合意形成の点で、再稼働の仕組み自体に大きな欠陥があると言わざるを得ない。事故のリスクや避難対策を背負う自治体が関与できないのは、道理が通らない。同意権の対象を、少なくとも30キロ圏内の全市町村に広げる必要がある。政府が主導すべきだ。

 電力需給の面でも疑問がある。九電は既に川内原発(鹿児島県)を動かし、供給に余力がある。そこに玄海が加われば、九州で特に普及が進む太陽光発電の抑制を招く恐れが強い。

 再生可能エネルギーの大量導入は、国をあげて取り組むべき課題のはずだ。政府は、再稼働の判断を原子力規制委員会や電力会社、地元自治体に任せる姿勢を改め、原発依存からの脱却と再エネ拡大に力を注がねばならない。

こんなニュースも