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 世界経済を引っ張る米国と中国が貿易戦争の様相になれば、悪影響ははかり知れない。またもや身勝手な振る舞いに出た米国に対し、日本をはじめ各国は再考を求めるべきだ。

 米政府は通商法301条に基づく調査の結果、中国が知的財産を侵害し米経済に被害をもたらしていると認定した。トランプ大統領は、中国製品に25%の高関税を課すなど制裁を発動するための大統領令に署名した。

 米通商代表部が今後、制裁関税をかける対象製品のリストを作る。情報通信関連などが想定されており、対象製品は「600億ドル(約6・3兆円)になりうる」(トランプ氏)という。

 確かに、中国による知的財産侵害は長年の懸案だ。企業が中国に進出する際、合弁会社の設立などを通じて技術供与を強要されるといった批判は、米国のほか欧州や日本でも聞かれる。

 だからこそ米欧日が協力して世界貿易機関(WTO)など多国間の場で是正を迫るべきなのに、トランプ氏は二国間の枠組みに固執する。301条に基づく一方的な制裁はWTO協定に反する可能性が大きいにもかかわらず、どこふく風である。

 今こそ、国際協調のもとで互恵を目指す自由貿易の原則を守る姿勢が欠かせない。

 心配なのは、トランプ政権の恣意(しい)的な通商政策で、早くも各国・地域の足並みが乱れかねない状況になっていることだ。

 対中制裁発表の直後、米国が安全保障を理由に打ち出していた鉄鋼とアルミ製品への高関税の適用が始まった。米国は当面、欧州連合(EU)や韓国などを対象から外す一方、日本や中国には適用するとした。

 トランプ氏は鉄鋼関税を交渉材料に、個別に通商面での譲歩を引き出す姿勢だ。各国がこれに応じるようでは米国の思うつぼで、混乱に拍車をかけるだけだろう。

 自らの目先の損得にとらわれず、連携して米国と向き合う。一方的な措置の撤回を求め、国際協議を通じて問題を解決するよう説得する。その基本を忘れないでほしい。

 中国も米国に次ぐ経済大国であることを自覚し、知的財産の保護をはじめ公正な貿易と投資に努めるべきだ。米国による鉄鋼とアルミ製品への関税に対抗し、対米協議が不調なら米国から輸入する果物やワインなどに追加関税を課す措置を公表したが、冷静な対応を求める。

 米国が中国への制裁を発表すると、世界各地で株価が下落するなど金融市場は動揺した。貿易戦争に勝者はいない。

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