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 またもや韓国の元大統領が逮捕された。約30年前の民主化以降、7人の元大統領のうち4人目という不名誉である。

 今回、収賄容疑などで逮捕された李明博(イミョンバク)元大統領は5年前まで政権を担っていた。後任の朴槿恵(パククネ)被告は弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)の末、やはり同容疑などで逮捕された。

 わずか1年のうちに直近の2人の大統領経験者が金銭がらみの罪に問われるという事態を、どう考えればいいのか。

 李氏は逮捕前の聴取で大半の容疑を否認した。李氏の周辺からは「政治報復だ」との声が上がる。現在の文在寅(ムンジェイン)大統領の盟友で、やはり大統領だった盧武鉉(ノムヒョン)氏が自殺に追い込まれたのは李政権下だったからだ。

 事件の全体像をつかむには、今後の審理を見守るしかない。当然のことだが、元大統領か否かを問わず、違法行為があったのならば許されない。

 検察と司法は、政権の顔色や世論の雰囲気に惑わされることなく、法と証拠に基づいた捜査と審理を尽くすべきである。

 この事態について韓国政界は与野党問わず、重く受け止めてもらいたい。あとを絶たない大統領と周辺による不正をどう防ぐか。それには、権力が集中する構造的な問題に目を向けざるをえない。

 韓国大統領の権限は制度上、他国に比べて突出しているわけではないとされる。だが、権威主義的な政治風土の影響もあり、実際には「帝王型」と言われるほどの権力をかかえる。

 大統領本人や家族・知人らが絡んだ過去の事件を振り返ると、最大権力の恩恵にあずかろうとして多額の金品が供与されたケースが目立つ。

 このため、文大統領は近く発議する憲法改正案に、国家元首の地位の削除など大統領権限の縮小や分散を盛り込んだ。

 改憲には国会議員の3分の2以上の賛成と国民投票での過半数の賛成が必要で、文政権は、6月の統一地方選時の国民投票を目指すとしている。

 それに対し国会の多数を握る野党は、文氏が地方選を有利に進めるための「政治ショーだ」と批判しており、改正はむずかしいと見られている。

 だが、これ以上、韓国民の政治不信を深めるべきではない。与野党は今こそ、政治改革に力をあわせるときだ。

 司法捜査が政争の具にされているという疑いはかねて提起されてきた。根源にあるのは、不毛な政争に走る文化だろう。大統領権限の分散とともに、政党間の健全な関係についても、冷静に考えるべきではないか。

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