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 3年前の統一地方選で、町村議員は定数の約2割が無投票当選だった。人口が千人未満の議会では6割強にのぼった。

 過疎・高齢化や議員報酬の低さが、なり手不足の主な理由だといわれている。

 民主主義の土台である地方議会の窮状に対して、総務省が有識者を集めた研究会で対策を練ったのは時宜を得ている。

 しかし、きのう公表された報告書には首をかしげざるを得ない。理由は三つある。

 ひとつは議会の機能が低下しかねないことだ。

 報告書は、二つの類型の議会像を初めて掲げ、現状のままを含めた3パターンから、一つを選ぶよう提唱している。

 「集中専門型」は3~5人程度の専業議員でつくり、生活できる議員報酬を保障する。民意を反映させるため、有権者による議会参画員制度も設ける。

 「多数参画型」は、集落単位などで兼業議員中心に選ぶ。報酬水準は下げ、夜間や休日に議会を開く。仕事量や権限を減らし、県職員ら他の自治体の公務員の兼職も認める。

 だが「集中専門型」では少ない議員数で、「多数参画型」では兼業議員らで、執行部への監視機能が弱まらないか。

 どちらも議会と首長の二元代表制を崩す恐れがある。

 二つめは、2類型について、自治体に原則としてパッケージで選ばせる姿勢が、地域の自主性を尊重する分権改革に逆行している点だ。

 議員の報酬や定数の増減などは、現行制度のもとで、それぞれの議会が決めればできる。それをあえて新たな2類型に盛り込み、一括採用を促すのは、お仕着せが過ぎる。

 まるで、自治体議会を信用していないかのようだ。

 三つめの理由は、研究会が大学教授らだけで構成され、議論が非公開ですすんだことだ。

 議会を改革する方策は、もっと幅広く現場の意見を聴きながら作り上げるべきだった。

 議員確保の試みは、すでに各地で始まっている。議会の夜間開催に踏み切った長野県喬木村(たかぎむら)、住民による政策サポーター制度を導入した同県飯綱町(いいづなまち)、50歳以下の議員報酬を高くした長崎県小値賀町(おぢかちょう)などだ。

 総務省に求められるのは、こうした事例を踏まえた具体策づくりであり、議会の類型を示すことではない。

 兼職禁止規定の緩和だけでなく、公営選挙の拡充、休職や復職がしやすい制度など多様な選択肢を示すことの方が、なり手不足対策に役立つに違いない。

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