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 疑問は膨らむばかりである。

 きのう衆参両院で、財務省の佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長に対する証人喚問が行われた。

 森友学園との国有地取引をめぐり、財務省が決裁文書を改ざんした当時の国会答弁を、佐川氏は一手に引き受けていた。

 改ざんはなぜ行われたのか。誰が誰の指示でやったのか。

 問題の核心部分を問われると、佐川氏はことごとく証言を拒み、真相解明は全くと言っていいほど進まなかった。

 議院証言法は、刑事訴追の恐れがあることを理由に証言を拒否することを認めている。

 だが今回の公文書改ざんは、国会を欺き、国民の知る権利を侵した重大疑惑である。

 佐川氏は「当時の担当局長として責任はひとえに私にある」と謝罪した。ならばその責任を果たす道として、知っていることを率直に国民に説明すべきではなかったか。

 4時間余に及んだ喚問で、佐川氏は改ざんの事実を知っていたのかなど、自らの関与について、捜査対象になっていることを理由に説明を拒み続けた。

 一方で、改ざんに安倍首相や麻生財務相、首相官邸の関係者、財務省幹部らの指示はなかったと断言した。

 学園への国有地の貸し付け・売却についても、首相や妻昭恵氏の「影響があったとは全く考えていない」と言い切った。

 なぜ、そう断じられるのか。

 自らが改ざんにどう関わったかは一切語らぬまま、首相や麻生氏の関与は全否定する。学園との土地取引が行われたのは、佐川氏が理財局長に就任する前で直接の当事者ではないのに、首相や昭恵氏の指示や関与はなかったと一蹴する。

 およそ不自然で、説得力を欠く証言と言うほかない。

 自民党幹部のひとりが「首相らの関与がなかったことが明白になった」と語るなど、幕引きを探る動きもあるが、とんでもない話だ。疑問だらけに終わった佐川氏の喚問は、問題の深さをいっそう印象づけた。

 失われた政治と行政の信頼を取り戻すには、二つの疑問を徹底的に解明する必要がある。

 首相や昭恵氏の名前を決裁文書からなぜ削ったのか。そして、学園に破格の安値で国有地を売却したのはなぜなのか。

 佐川氏の喚問は第一歩に過ぎない。前任の理財局長だった迫田英典氏や昭恵氏、昭恵氏と財務省を仲介した政府職員らの国会招致は欠かせない。

 行政監視の機能を果たし、民主主義を立て直せるか。与野党ともに問われている。

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