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 四国電力が、愛媛県の伊方原発2号機を廃炉にすると表明した。計3基のうち1号機については16年に廃炉を決めており、四電の原子力事業は3号機の1基体制になる。

 東京電力福島第一原発の事故後、原発を動かすには国が定めた新規制基準に適合することが条件になった。運転期間についても原則40年とされ、審査を通れば1回だけ最長20年間延長できる仕組みが導入された。

 伊方2号機の場合、新規制基準への適合に2千億円近い安全対策費がかかると見られていた。出力は56・6万キロワットと限られる。運転開始から36年で、延長が認められても動かせるのは20年程度だ。採算の見通しを検討した結果、廃炉という結論に行き着いたのだろう。

 福島の事故後に廃炉が決まったのは、福島第一以外で、全国で計9基になった。伊方2号機を含む7基は出力が60万キロワット以下だが、関西電力が福井県に持つ大飯原発1、2号機はより大型で、それぞれ110万キロワットを超える。

 経済産業省や電力業界は「原発は経済的に優位」と強調してきたが、その根拠はますます揺らいでいる。原子力事業がコスト面で厳しさを増している現実を直視するべきだ。

 伊方原発では、四電が存続を決めている3号機の動向が今後の焦点になる。16年8月に再稼働したが、昨年12月、広島高裁が運転を差し止める仮処分決定を出した。

 同高裁は、熊本県の阿蘇山の巨大噴火による被災のおそれを指摘し、原発の立地に適さないとした。四電は異議を申し立てて審理が続いているが、松山や大分、高松の地高裁などでも運転差し止めや損害賠償を求める裁判が起こされている。

 伊方原発の近くには中央構造線断層帯があるが、四電による地震の想定は十分なのか。佐田岬半島のつけ根にある同原発でひとたび過酷事故が起こった時、半島の住民は安全に避難できるのか。

 各地から示されているさまざまな不安を、四電は正面から受け止めるべきではないか。

 原発をめぐっては、放射性廃棄物の最終処分地のメドが立たないなど、福島の事故前から抱える多くの課題も残されたままだ。一方で世界的に再生可能エネルギーの低コスト化と普及が加速しており、日本もその流れと無縁ではない。

 原発にこだわることが長期的に得策なのか。四電をはじめ、電力各社は改めて自らに問い直さねばならない。

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