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 約10万4千人の年金の2月支給分が、本来の金額より少なかったことがわかった。逆に多く支払われた人も約4万5千人にのぼる。

 日本年金機構がデータ入力を業者に委託し、その業者の処理がずさんだったためだ。4月支給分で過不足を調整するというが、あまりにお粗末である。

 年金機構は原因を徹底的に究明し、業務を総点検すべきだ。入札のあり方を含む業者の選定方法、監督の仕組みなどを根本から見直す必要がある。

 問題が起きたのは、年金に所得税がかかる人が控除を受けるのに必要な扶養親族等申告書のデータを入力する作業だ。一般競争入札にかけたところ、応募したのはこの業者だけだった。

 これまでに30回以上、データ入力などの仕事をした実績があるが、今回のような500万人分を超える大規模な作業は初めてだったという。機構に示した計画書では800人で業務にあたるとしていたが、実際は百数十人しかいなかった。

 契約上は手入力した後に2人で突き合わせて点検するはずだったが、業者は機械を使ってデータを読み込んでいた。この過程で誤入力や入力漏れが多発し、点検作業も怠っていた。

 契約違反はこれにとどまらない。他の業者への再委託はできないのに、機械で読み込みづらい氏名やフリガナの入力作業を、中国にある関連会社に任せていた。厳重な管理が必要な個人情報を扱うことへの自覚に欠けると言うしかない。

 年金機構も、業者が体制を整え、適正に作業しているかどうかのチェックが不十分だった。1月には再委託の違反を把握したが、代わりの業者が見つからず2月中旬まで委託を続け、被害を広げた。責任は重い。

 年金記録のずさんな管理が問題となった旧社会保険庁が解体され、機構が発足して8年。業務の効率化は大きな柱で、保険料の未納者に対する督促や免除手続きの勧奨など、外部委託の範囲を広げてきた。

 だが、年金の業務はとりわけ正確さと公平性が求められる。コスト意識は大事だが、安かろう悪かろうに陥っては本末転倒である。

 今回の問題が発覚したきっかけは、申告書の記入方法が大きく変わり、記入ミスや未提出が多発したことだ。いまも91万人分で対応が必要だという。

 多くのお年寄りが、難しい書類をいきなり送付されて戸惑ったことは想像に難くない。通知をわかりやすくし、手続きを簡素にする努力も欠かせない。

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