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 避難生活を余儀なくされる人がいる限り、福島第一原発事故の被害は終わらない。政府と関係する自治体は目をそらさず、支援の手を差し伸べ続ける責任がある。

 事故から7年余り。避難指示の解除が進み、福島県の内外で暮らす避難者は減っている。県や復興庁が公表する最新の人数は約5万人で、ピーク時の3割の水準だ。復興は着実に進んでいると行政は強調する。

 だが、この統計には注意が必要だ。数え方にばらつきがあるほか、見かけ上、減っているだけという面があるからだ。

 たとえば福島県などは、仮設住宅の無償提供を打ち切るのにあわせて、避難者として扱うのをやめている。昨年春には、避難指示区域外からの「自主避難者」の多くを除外した。今後も、避難解除から一定期間がたった地域の人を順次除いていく見通しだ。

 こうした措置に、支援団体や専門家の間では「問題を見えにくくし、避難者の切り捨てにつながりかねない」と懸念する声が出ている。

 行政に「地元に戻っても大丈夫です」と言われても、すぐに動ける人は少ない。避難先で職に就いた、子どもが学校に通っているといった事情のほか、戻る先の生活環境や放射能への不安も根強い。

 そもそも多くの人が、収入の減少や健康の悪化、仕事の確保、周囲の無理解など、さまざまな悩みを抱え、中には貧困や孤立に苦しむ人もいる。

 政府は近く、被災者の生活実態を調べ、対応策を見直すという。調査では自主避難者も幅広く対象とし、支援団体からも聞き取りをするなどして、全体像と課題の把握に努めるべきだ。

 生きていくうえで「住」の確保は基本だが、避難先の自治体の対応はまちまちだ。実情に応じた支援に向けて、政府が前面に出るべきではないか。

 内にこもりがちな避難者を直接支えるNPOへのサポートにも心を配りたい。

 「かながわ避難者と共にあゆむ会」は、互いのつながりや健康を保つための交流活動を企画し、困りごと相談にあたる。助成金が頼みの綱だ。山内淳(じゅん)事務局長は「いつまで続けられるか不安を持つNPOは少なくない。行政は10年ぐらいの長さで後押ししてほしい」と話す。

 ふるさとを奪われた人々が平穏な日常を取り戻すには、多くの時間がかかる。関係省庁、避難元と避難先の自治体、官民の支援組織が連携を強め、息長く寄り添っていかねばならない。

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