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 考えや志、好みなどが同じ市民が集まって、自由に活動しやすくする。行政や企業とは異なる価値観を育むことを通じて、住みよい社会をつくっていく。そうした取り組みを、さらに広げていきたい。

 特定非営利活動促進法(NPO法)が成立して、20年になった。福祉や教育、環境保護、まちづくりなどの分野で、法に基づく法人を土台に、市民による政策提言や事業を後押しする。そんな法律である。

 1995年の阪神大震災では多くの人が被災地にかけつけ、「ボランティア元年」と呼ばれた。一人ひとりの善意を束ね、息の長い活動にしていこうと、市民団体有志が当時の自民・社会・さきがけの連立与党に働きかけ、議員立法で誕生した。

 2011年の東日本大震災では多くの寄付が集まり、「寄付元年」として注目された。NPO法人をその受け皿にするため、法人への寄付を優遇する税制が拡充された。

 NPO法人は今では5万を超え、手厚い寄付優遇を受けられる認定NPO法人も1千を突破した。さまざまな種類がある非営利組織の中核として、すっかり定着した。

 ただ、課題も少なくない。

 例えば情報の公開だ。NPO法は、活動の報告書を定期的に行政に出すよう求めているが、それを怠って設立を取り消される例が後を絶たない。繁雑さが指摘される手続きの改善が必要だが、ルールを守るのは最低限の責任だろう。

 行政との関係も模索が続く。

 国や自治体は当初、業務を安く委託できる便利な存在としてNPO法人を扱いがちだった。それが今では、対等・協働の関係であるべきだ、という考え方が浸透してきている。

 それでも、行政からの委託や助成事業をこなすのに精いっぱいで、打ち切られると立ちゆかなくなるNPO法人も多い。法や税制は整ったものの、まだまだNPO側の人材や資金は十分とは言えないのが現状だ。

 課題は多いが、若い世代の意欲的な試みもめだつ。

 様々な課題解決をめざす「社会企業家」としてNPOを活用する人が増えてきた。ネットで資金を集めるクラウドファンディングを駆使し、事業の費用対効果の検証と説明を通じて責任を果たそうと努めている。

 暮らしの多様化に伴い、身近できめ細かい市民活動の意義はいっそう増していく。さまざまなNPO法人同士が分野や世代を超えて連携すれば、もっと活躍の幅が広がるだろう。

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