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 原発の周辺市町村は、立地自治体と同様にリスクを背負うのに、再稼働の是非について権限がない。今の地元同意手続きが抱えるそんな欠陥を正すうえで、大きな一歩である。

 日本原子力発電(原電)の東海第二原発の再稼働をめぐり、茨城県や立地自治体の東海村に加え、水戸市など周辺5市の事前了解も必要とする安全協定が、原電との間で結ばれた。

 再稼働に対する事実上の「同意権」が周辺市町村に広がることになる。このことが、電力会社が関係自治体と結ぶ安全協定に明記されるのは、全国で初めてだ。

 原電は東海第二の再稼働に向けた準備を進めている。事故に備える避難計画の策定を義務づけられる30キロ圏の人口は、全国の原発で最多の約100万。計画づくりが難航している自治体が多く、住民の不安も根強い。30キロ圏にある5市は、東海村と同じような同意権を原電に求めてきた。

 今回の新協定には、東海村や周辺5市との事前協議により「実質的に事前了解を得る仕組みとする」との文言が盛り込まれた。民主的な合意を得るうえで、前進と言える。

 ただ協定には、6市村の中で意見が食い違った場合にどうするかなど、あいまいな部分も残る。関係する全自治体が納得するまで徹底的に協議するなど、住民の安全を最優先に考えて運用してほしい。

 同意権が道県や立地市町村に限られることに対しては、関西や九州など各地の自治体から異論が相次いでいる。事故のリスクや避難対策の負担を引き受けさせられる周辺自治体が、再稼働手続きに関与したいと考えるのは、当然のことだ。

 電力大手各社は再稼働のハードルが上がるのを嫌う。だが地元の信頼を得たいのなら、消極的な姿勢を改め、同意権の対象拡大に応じなければならない。

 安全協定に基づく今の同意手続きは、法的な根拠を持たず、住民の安全に対する責任をあいまいにしている面がある。政府は「電力会社と自治体の問題で、関与する立場にない」というが、傍観者のような振る舞いは無責任ではないか。国が主導して、同意ルールの法制化を検討するべきだ。

 今回は県と、立地する東海村、周辺5市が協力し、原電を動かした。原発をめぐっては、立地自治体と周辺自治体の間で溝が生じている地域も目立つ。その解消のため、道や県が果たせる役割は大きい。「茨城方式」を全国に広げたい。

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