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 信じがたい不祥事がスポーツ界で続く。

 大相撲では、巡業先の土俵上で倒れた地元市長のために救命活動をしていた女性看護師らに対し、土俵から降りるよう求める場内アナウンスがくり返し流れた。レスリングでは、選手強化の最高責任者によるパワーハラスメントが認定された。

 共通するのは、自分たちの組織の価値観や慣行にどっぷりとつかり、一般社会の常識からかけ離れた姿である。

 アナウンスは、突然のトラブルと「女性を土俵にあげていいのか」との客の声に動転した行司によるものだったと、日本相撲協会は説明する。確かに大相撲には「女人禁制」の伝統がある。だが、人命がかかる場面で何を優先すべきかは自明だ。

 不適切な対応だったと八角理事長がおわびのコメントを出したのは、問題発生から9時間もたった夜11時過ぎだった。昨年秋、巡業先での横綱による暴行事件が発覚し、人事を含め態勢を見直した矢先の、再びの信頼失墜行為だ。この間、何を反省し、何を学んだのだろう。再生の道ははるかに遠い。

 問題の根にある「女人禁制」についても考え直すべきだ。

 17年前に当時の時津風理事長は伝統に触れつつ、一方で「大相撲が将来、健全な形で残っていくために(禁制の解禁も)検討していきたい」と述べた。そのままうやむやにされてしまったが、今こそもう一度議論をおこすときではないか。

 レスリング界では、伊調馨(かおり)選手らに対する栄和人(さかえかずひと)・日本協会強化本部長(当時)の言動を、協会が委嘱した第三者委員会がパワハラと認めた。

 1月に告発があったことが公になって以降、協会は事実が解明される前から疑いを否定してきた。あれは何だったのか。

 第三者委は栄氏の個人責任にとどまらず、内部告発制度の不備や、国際大会に派遣する代表選手の選考過程の不透明さ、コミュニケーション不足、議論のない理事会のあり方など、組織運営の本質にかかわる問題点をいくつも指摘している。

 告発は内閣府の担当部署にも出されている。その調査結果も踏まえ、協会は一連の事態に対する責任と、今後の対策を明らかにしなければならない。

 相撲、レスリングの両協会とも、国から認可され、税制面でも優遇される公益法人だ。体質を改め組織の規律を立て直すのは、ファンにとどまらず、納税者である市民全体への責務である。信頼の回復にどうとり組むか、多くの目が注がれている。

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