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 福島第一原発の事故を起こし、政策支援と巨額の国民負担で生かされている東京電力に、存在意義が揺らぐ他社を助ける資格があるのか。

 茨城県にある東海第二原発の再稼働をめざす日本原子力発電(原電)に対し、東電が、東北電力とともに資金支援を行う意向を表明した。

 原電は電力大手各社が出資する原発専業の発電会社だ。東日本大震災の後、保有するすべての原発が停止し、電気を売れない苦境が続く。東海第二の再稼働は経営の命綱だ。

 ただ、運転再開に必要な、新規制基準を満たすための安全対策工事には、1700億円以上かかると見込まれる。原電は自力で調達できず、主要株主で大口の販売先でもある東電と東北電に助けを求めていた。

 支援表明には、原電が破綻(はたん)して、株主の電力各社に損失が及ぶのを避けるねらいがあるのだろう。しかし、その場しのぎに過ぎないのではないか。

 再稼働には問題が多く、見通しは全く立っていない。

 東海第二は「原則40年」の運転期限が11月に迫る。運転延長・再稼働に向け原子力規制委員会の審査を受けているが、期限に間に合わず廃炉に追い込まれる可能性がある。

 30キロ圏内には96万人が住み、自治体の避難計画づくりは難航している。最近、原電は東海第二の再稼働について、実質的に周辺5市の事前了解を得るという安全協定を結び、地元同意のハードルも大幅に上がった。

 こうした状況の下で、原電の事業リスクを東電が肩代わりしようとすることには、強い疑問がある。

 東電は福島の事故後、実質国有化で救済された。損害賠償や廃炉作業に支障が出ないようにするための、異例の政策支援だった。総額22兆円と見込まれる事故処理費用は、東電の収益や多くの国民が払う電気代などでまかなう仕組みだ。

 原電は13年にも資金繰りが悪化し、電力大手の支援を受けたが、東電は加わらなかった。展望を描けぬ原電を助ける余裕など、今もないはずだ。

 東電と、その経営を事実上差配する経済産業省は、原電の支援に合理性があるのか、説明責任を果たすべきである。

 原電が存続できているのは、電力大手が契約に基づき毎年計1千億円規模の基本料金を払っているからだ。その元手は電気代であり、国民へのつけ回しにほかならない。電力業界と経産省は、原電のあり方の抜本的な見直しを急がねばならない。

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