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 今度こそ、国会で徹底的に事実を解明しなければならない。

 国家戦略特区の制度を使った加計学園による獣医学部新設をめぐり、新たな文書が明らかになった。安倍首相の秘書官をしていた柳瀬唯夫氏の発言として「本件は、首相案件」と明記されていた。

 15年4月に地元愛媛県や今治市の職員、それに学園関係者が首相官邸を訪問しており、その際、職員が報告用につくった備忘録だと県知事が認めた。

 県と市が特区申請をする2カ月前のことだ。学部新設に反対していた獣医師会への対処などのアドバイスも書かれている。

 秘書官は首相の名代として、各省庁との調整役も務める側近だ。そのキーパーソンが、特定の事業のために時間をさき、懇切丁寧に実現への手ほどきをしていたことになる。

 さらに文書には、柳瀬氏に先立って面会した内閣府の幹部からも「要請の内容は総理官邸から聞いて(いる)」「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と言われた、との記載もある。事実なら厚遇ぶりは明らかで、政権全体で後押ししていたと見るのが自然だ。

 柳瀬氏は昨年夏の国会で「会った記憶がない」をくり返し、きのうも「この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ない」とのコメントを発表した。

 では、愛媛県の職員はウソを書いたというのか。間違っているのは記録か、記憶か。関係するすべての人を国会に呼んで、話を聞かねばなるまい。

 この問題が重要なのは、これまで政権がしてきた説明の信用性に大きくかかわるからだ。

 昨年6月、文部科学省で「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと書いた文書が見つかり、首相の盟友が学園の理事長をしているので特別扱いをしたのではないか、との疑いがもちあがった。

 政権側は、特区構想全般を推進するのが首相の意向で、「加計ありき」ではないと反論。首相自身も、学園が事業者に正式に決まる昨年1月まで、特区に手をあげていることすら知らなかったと国会で答弁した。

 秘書官がその1年半以上も前に「首相案件」と認識し、助言までしたとすれば、首相らの主張には大きな疑問符がつく。

 森友問題しかり、PKO日報問題しかり。主権者である国民に対する政府の説明が根底から覆り、統治能力を疑わざるを得ない出来事が相次ぐ。

 これ以上、この国の民主主義を壊してはならない。

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