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 陸上自衛隊の日報をめぐる混乱が続く防衛省で、今度は制服組トップの河野克俊統合幕僚長の発言の信頼性に疑問符がつく事態が生じた。

 南スーダンPKOの日報について、防衛省は当初、「破棄した」と説明したが、その後、統合幕僚監部で見つかったとして一転、情報開示に応じた。

 しかし、日報は統幕だけでなく、陸自にも保管されていた。そのことを統幕長は知っていたのか、知らなかったのか。河野氏の発言が揺れた。

 12日の記者会見で、河野氏は「陸自に個人データとして残っている」と昨年1月下旬に部下から報告を受け、「情報公開の対象ではない」との説明を了解したと語った。

 これが事実なら、「陸自の日報を確認したことはない」という昨年3月の記者会見での説明は偽りだったことになる。見過ごせない発言だ。

 ところが河野氏は13日、報告を受けたか「覚えていない」として前日の発言を撤回した。これだけ重要な問題で、一夜にして認識が変わることに驚く。

 だが、この部下は国会で「統幕長に報告した」と答弁しており、証言は食い違う。河野氏は事実関係について、さらに丁寧な説明をすべきだ。

 昨年7月に公表された特別防衛監察の結果には、河野氏が報告を受けたとの記載は一切ない。当時の事務次官や陸上幕僚長らが陸自内の日報を非公表と決めたとされているだけだ。河野氏も知っていたとすれば、監察結果の信頼性にかかわる。

 河野氏は安倍首相に頻繁に面会して、軍事的な助言をしている。昨年には、首相が唱えた自衛隊明記の改憲案について「ありがたい」と発言したり、南スーダンPKOの日報について、事実上、「戦闘」の言葉を使わないよう指導したりして批判を浴びた。政治との距離感を見失い、政権への配慮が優先されたとすれば問題だ。

 防衛省では、陸自のイラク派遣時の日報をめぐっても、文書の存在を1年余りにわたって大臣に報告していなかった。政治が軍事に優越するシビリアンコントロール(文民統制)の不全が際立っている。

 公文書は国民の共有財産であり、政策の検証に欠かせない。自衛隊に関する情報といえども、適切な開示が、文民統制を機能させる基礎である。

 事実と向き合い、教訓をくみ取る。そのためにも、ずさんな文書管理と情報公開に後ろ向きな体質を改める。河野氏はその重い責任を自覚すべきだ。

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