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 熊本地震から2年がたった。

 2度に及ぶ激しい揺れは地元に深い傷を残し、なお3万数千人が仮設住宅で暮らす。すべての被災者が少しでも早く生活を再建できるように、官民でのさらなる取り組みが必要だ。

 見落とされがちなのは、避難所や仮設住宅には行かず、壊れた自宅に住み続けている「在宅被災者」の存在だ。

 益城町で「大規模半壊」とされたある家の世帯主は、公的支援金を受けた。だが資材の高騰もあり、屋根の修理くらいで終わった。居間の壁は亀裂が残ったままで、また揺れが来たらと不安が消えない。地域には、農機具などの倉庫で寝泊まりを続ける人も、いまだにいる。

 東日本大震災を受けた法改正で、避難所以外に滞在する被災者への「配慮」が行政に義務づけられた。だが努力規定であり、ボランティアやメディアの関心も、被害の目立つ地域や仮設住宅に集まりがちだ。

 熊本地震でも、介護やペットの世話などを理由に自宅にとどまった被災者に、物資は十分届かなかった。いまも心のケアから取り残されたり、支援の情報が届かなかったりする。

 法律の定めにもかかわらず、支援を必要とする在宅被災者がどこに何人いるか、行政はつかみきれていない。いわば「見えない被災者」だ。元の場所でなんとか生きていこうとするこうした人たちを守れなければ、地方の被災地は人口の流出が続き、衰退するばかりだ。

 また、想定される首都直下型や南海トラフ巨大地震では、避難所の収容能力や仮設の建設用地が限界を超え、「在宅」が圧倒的に増えるのは間違いない。現に東京都は「可能な限り在宅避難を」と呼びかけている。

 「在宅」の実態を把握し、生活を支える方策を、いまのうちから積み上げていきたい。

 たとえば住宅の応急修理を援助する制度の見直しだ。支給額は50万円ほど。決して大きな金額ではないが、受け取ると仮設への入居は認められない。しかも対象は「半壊」と「大規模半壊」だけで、「一部損壊」には支払われない。もっと柔軟な仕組みにすべきではないか。

 復興は住まいの確保から始まる。しかし、「避難所→仮設→恒久住宅」という一本道だけでは、被災者一人ひとりの多様なニーズに応じられない。

 住み慣れた家と地域を大切にしたい。それが多くの人の、当然の思いだ。さまざまな道を用意し、どれを選ぶかは被災者が決める。それがつまりは、生活再建への最短ルートとなる。

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