[PR]

 通商政策に対する日米の考え方の違いが浮き彫りになった。

 11月の中間選挙を前に、「米国第一」の主張を強めるトランプ大統領が求めるのは、対日貿易赤字の削減だ。安倍首相が環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を求めても、「TPPに戻りたくはない。二国間協定の方がよいと思っている」と言い切った。

 今回、日米の通商問題を話し合う新たな閣僚級の枠組みをつくることでは合意した。茂木経済再生相と、ライトハイザー米通商代表部代表が担当する。

 米国側の狙いが、自由貿易協定(FTA)交渉に持ち込むことにあるのは明らかだ。米国に有利な協定を結び、対日輸出を増やそうというのだろう。

 米国は安全保障を理由に、中国や日本などから輸入する鉄鋼・アルミ製品に高関税をかけている。しかしFTA再交渉中の韓国、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉中のカナダとメキシコを、当面は適用除外とした。あからさまなディール(取引)外交だ。

 日本に対しては今回も、高関税の適用を続ける考えを示したが、将来は除外する可能性に言及した。FTA交渉に応じることを、除外の条件にしようという意図がうかがえる。

 トランプ氏は米韓FTAの再交渉を「成功」ととらえているようだ。韓国製ピックアップトラックの米国への輸入関税を維持し、米国が強い製薬分野では韓国市場に進出しやすくした。通貨切り下げを防ぐ条項の導入に向けても、詰めの協議を進める。北朝鮮との会談を控え、韓国は譲歩を余儀なくされた。

 二国間交渉となれば、米国は同様に攻めてきかねない。日本は70~90年代に米国との激しい貿易摩擦で、輸出の自主規制などを迫られた。その再来は避けねばならない。通商政策と絡め、為替レートを無理に変動させるような議論も危険だ。

 日米間ではこれまで、麻生副総理兼財務相とペンス副大統領による日米経済対話で、経済通商問題を協議してきた。しかし二国間のFTAに関心を示す米国と、TPP重視の日本の溝は、埋められなかった。

 新たな貿易協議でも日本は、TPPに戻ることが米国の農業などにとって利益となることを粘り強く説き、その実現につながる糸口を探るほかない。

 昨年1月のトランプ政権の発足以来、日本のみならず世界の通商政策がかき回されてきた。米国の振る舞いが少しでも変わるよう尽力することが、日本の務めだ。

こんなニュースも