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 地球温暖化を防ぐための「脱炭素化」など、エネルギー分野の変革にどう臨むか。2050年に向けた戦略を、経済産業省の有識者会議が提言した。

 太陽光や風力などの再生可能エネルギーを「主力」と位置づけたのは妥当だ。だが、原発の存続も前提にするなど、現行政策の延長という色彩が濃く、将来像として疑問は多い。

 提言は、夏に政府が改定する「エネルギー基本計画」に反映され、近く始まる温暖化対策の長期戦略づくりの材料にもなる。関係省庁や国会は、より広い視野から議論を深め、新たな道筋を探らねばならない。

 提言が意識したのは温暖化対策のパリ協定だ。「50年までに温室効果ガスの排出を8割減らす」政府目標を達成するには、二酸化炭素(CO2)を出さないエネルギー利用に変えていく必要があり、「あらゆる選択肢を追求する」とうたった。

 目を引くのは、再エネについて「経済的に自立した主力電源化をめざす」と明記した点だ。世界的な急拡大の流れに日本は乗り遅れており、挽回(ばんかい)をはかるのは当然である。

 ただ、海外より割高なコストの引き下げ、送電線網の整備、蓄電池の開発など、課題は多い。政府は普及を加速させる具体策づくりを急ぐ必要がある。

 原発については、発電時にCO2を排出しないことから、「脱炭素化の選択肢」とした。しかし福島の原発事故で失われた社会の信頼回復、放射性廃棄物の処分、核燃料サイクルなど、難題が山積みのままだ。解決の道筋を示さず「原発頼み」を続けようとしても、多くの国民の理解は得られまい。

 海外では、排出量に応じて課す炭素税や排出量取引を導入する国が増えているのに、提言が言及していない点も、政策論として不十分だ。

 30年後の姿を描こうとしても、技術革新の進み具合や各エネルギー源の経済性、資源国の政情など、先行きを見通せない要因は多い。政策を柔軟に見直していく姿勢が大切になる。

 経産省は、専門家らがエネルギー情勢や技術の動向を分析し、判断材料を示す組織の立ち上げを検討するという。既存の政策を進める側から独立した立場で幅広い知見を持ち寄り、その都度、合理的な政策を提言できる仕組みにするべきだ。

 エネルギー政策の立案はこれまで、経産省と関係業界、それに連なる一部の有識者らが主導してきた。変革期に適応するには、そのやり方自体も変えていかねばならない。

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