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 朝鮮学校の子どもたちの学びとどう向き合うか。国とともに自治体も問われている。

 全国に60余ある朝鮮学校が所在する28都道府県のうち、学校への補助金を予算に計上したのは12道府県にとどまり、残りの16都府県はこの10年の間に交付をやめていた。昨年度の朝日新聞の調査でわかった。

 補助金を継続している自治体は、児童生徒1人当たり一定額を出したり、備品購入の一部や地域住民との交流事業を支援したりしている。欧米系やブラジル人学校などと同様に補助している例が多い。

 朝鮮学校の子どもたちも地域社会の一員である。当然の判断だろう。

 交付をやめた自治体の時期やきっかけはさまざまだが、影響したとみられるのは文部科学省が16年3月、28都道府県知事あてに出した通知だ。

 補助金について「適正かつ透明性のある執行の確保」を求めたが、その前提として「政府は、北朝鮮と密接な関係がある朝鮮総連が教育内容や人事、財政に影響していると認識している」と強調した。

 当時、核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮への制裁の一環として補助金打ち切りを求める声が自民党などからあがっていた。自治体側は国から再考を迫られたと受け止め、実際に複数の県が支給をとりやめた。

 北朝鮮にかかわる政治・外交上の懸案と、日本で生まれ育った子どもたちの教育の問題を混同してはならない。そもそも地方の補助金に国が口出しすることが異例であり、自治体には主体的な判断を求めたい。

 補助金を続ける12道府県は、朝鮮学校の教育内容が学習指導要領に準じているかを調べたり、会計書類で補助金の使途を確認したりしている。地域の納税者の理解を得る取り組みを重ねつつ、子どもたちの教育を等しく支えることは自治体の務めである。

 朝鮮学校への補助金をめぐっては、大阪高裁が3月、大阪府と大阪市の不支給決定について違法な点はないとし、一審に続いて学校側の訴えを退ける判決を出した。

 一方、兵庫県民が県の補助金支給の取り消しを求めた裁判では、神戸地裁が14年の判決で「ほかの外国人学校と同等の扱いをしたものだ」として訴えを退けた。この判断は最高裁で確定している。

 国籍にかかわらず地域に暮らす子どもを育む。そのことを多文化共生社会への一歩としていかねばならない。

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