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 北朝鮮が大きな方針の転換を宣言した。核実験と大陸間弾道ミサイルの試射をやめて、和平を志向する姿勢をうたった。

 年明けからの対話攻勢が注目されてきたが、今回は特別な重みを持つ。国を指導する朝鮮労働党の中央委員会の決定として、自ら公表したからだ。

 これまでのような韓国政府を経た間接情報ではなく、金正恩(キムジョンウン)・党委員長の発言だ。国際社会に公約を発したに等しい。

 そこには、6月までに予定される米国との首脳会談を成功させたい強い意図がみえる。

 米国本土に届くミサイルと核の拡散の防止は、米国が神経を注ぐ問題だ。核実験場の廃棄を表明したのも、米朝会談の効能を先んじて示し、トランプ政権を得心させる狙いだろう。

 これらは前向きな動きとして評価できる。少なくとも危うい兵器開発にブレーキがかかるのは歓迎すべきである。

 ただし今に至るも北朝鮮は、核とミサイル問題のごく一部を切り売りする駆け引きを続けている現実は見過ごせない。周辺国にとっては、真剣な核放棄にどう導くか、本格交渉の起点に着いたに過ぎない。

 今回の決定は改めて、核兵器の軽量・小型化に成功した保有国だと強調している意味を重く考えねばなるまい。すでに所持しているはずの核と大量のミサイルを手放す意図は、まったく見せていないのだ。

 一方、注目すべき点としてはもうひとつある。国民の生活の向上のために経済再建に力を入れる方針を示したことだ。

 金正恩氏が本当に経済を良くしたいと考えるなら、国連決議による経済制裁の緩和をめざす以外に展望は見いだせない。そのためには、完全で検証可能な非核化が必須条件である。

 今週に金氏に会う韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、その点をしっかり説いてもらいたい。北朝鮮経済の発展は、すべての大量破壊兵器からの決別なしにはありえないことを諭すべきである。

 文氏とトランプ大統領は会談に向けて、休戦状態の朝鮮戦争を公式に終わらせる措置を検討していると伝えられる。北朝鮮に非核化を迫る一方で、関係の正常化へ向けた道筋の交渉も視野に入れる必要がある。

 北朝鮮が今回の決定により、対話路線に本気で進むかまえをみせた以上、日本も交渉の備えに万全を期したい。

 拉致問題という人権問題の解決と、戦後補償を伴う関係正常化の交渉は日本の長年の課題である。急展開する潮流に的確に対応し、機会を探るべきだ。

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