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 新しい環境基本計画が、先ごろ閣議決定された。6年ぶり4回目の改定となる。

 国連で3年前に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に、社会や経済のあり方にまで踏み込んで、この国の姿を大きく変えようという野心的な内容だ。それだけに、絵に描いた餅に終わってしまう懸念も大きい。

 そうさせないために、政府全体でいかにとり組むか。知恵と本気度が問われる。

 これまでの計画は、「地球温暖化の防止」「生物多様性の保全」「水や大気の保全」といった環境分野における個別の課題をあげ、その解決に重点を置くものだった。しかし、目標が達成できたかどうかの検証が十分でないなど、「言いっ放し」との批判が強かった。

 今回は、経済、国土、暮らしなど六つの重点分野を設け、環境課題の解決を通じて、社会そのものを持続可能な姿に変えることをめざす。

 土地の特性や気候などを踏まえて、その地域に最も適した再生エネルギーを普及させ、二酸化炭素の排出量を減らす。同時に、関連するビジネスをつくり出して人口の流出に歯止めをかけ、地域経済を活性化する――といったイメージだ。

 魅力的な構想だが、環境行政だけでは実現しにくい部分も多く、道のりは険しい。関係する省庁が連携して、具体的な制度を設けたり、予算を投入したりして肉づけすることが欠かせない。進み具合をこまめに点検し、遅れている点を手当てする態勢づくりも必要だ。

 気がかりなのは、省庁間の考えに違いが目立つことだ。

 たとえば、パリ協定が求めている温室効果ガス削減の長期戦略では、環境省は国内で再生可能エネルギーの利用を増やす道を重視する。これに対し経済産業省は、他国への技術協力などを通じて、地球総体の排出量を減らすことに軸足を置く。

 二酸化炭素の削減を促す炭素税や排出量取引の導入についても、両省の考えの溝は大きい。これでは「持続可能な日本」への転換はおぼつかない。

 2年前のパリ協定の締結遅れが象徴するように、安倍政権は環境分野で大胆な改革を進める熱意に乏しい。国民の日常生活からビジネスまで、さまざまな面で国際潮流に乗れないでいるのが現実だ。このままでは世界から取り残されてしまう。

 そんな状況下で制定されたのが、この環境基本計画である。「言いっ放し」で終わらせることは、もはや許されない。

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