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 国会の空転が週明けも続いた。安倍首相が出席する衆参予算委員会での集中審議も見送られた。政府内で不祥事が相次ぎ、立法府が厳しく行政監視の役割を果たすべき時に、時間の空費は決して許されない。

 この事態を招いた原因は、真相解明と政治責任の明確化を求める野党に「ゼロ回答」で応じた、与党の不誠実さにあると言わざるをえない。

 一例を挙げれば、加計学園の獣医学部新設をめぐり、柳瀬唯夫・元首相秘書官の証人喚問を拒否したことである。柳瀬氏は2015年4月に学園幹部や愛媛県職員らと面会したとされる。その際、「本件は、首相案件」と語ったという記録が愛媛県に残されていた。

 柳瀬氏はなお、「記憶の限りではお会いしたことはない」と、面会の事実自体を否定している。しかし、先週には、学園幹部らと柳瀬氏の面会予定を伝える内閣府職員のメールも明らかになった。柳瀬氏の説明に対する疑念はふくらむ一方だ。

 与党は「参考人で十分」というが、柳瀬氏はその参考人として出席した昨年7月の国会で、「記憶がない」との答弁を繰り返した。今度は、偽証罪に問われる証人喚問で事実関係をただすのが当然ではないか。

 空転が長引けば、審議を拒否する野党に世論の批判の矛先が向かうとでも考えているのだろうか。野党の要求を真摯(しんし)に受け止め、国会を正常化させる責務は、与党にこそある。

 加計問題だけではない。行政の信頼を土台から崩す事態が後を絶たないのに、政権・与党の危機感の欠落ぶりは深刻だ。

 国有地取引をめぐる財務省の決裁文書が改ざんされた森友学園の問題、財務事務次官が辞任に追い込まれたセクハラ疑惑は、財務省が今にいたるまで、まともな説明をしていない。

 身内をかばい続け、責任の所在をあいまいにする麻生財務相の対応が不信を募らせ、混乱に拍車をかけている。政治責任、監督責任は極めて重大である。

 防衛省では情報隠しが次々にあらわになり、幹部自衛官が国会議員を面罵する事態まで起きた。文民統制も機能不全に陥っている。

 あらゆる政策遂行の前提にあるのは、国民からの信頼だ。行政府が国会を軽んじ、欺き、国民に背を向ける。そんな状況を放置したままで、まともな政治が実現するはずもない。

 一つひとつの問題に徹底的に向き合い真相を解明する。いま立法府が果たすべき使命に、与党も野党もないはずである。

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