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 天気予報や気温、湿度の推移といった気象データをもっと幅広く活用できないか。民間の知恵を導入し、様々な分野で生かす機会を増やしたい。

 気象庁のスーパーコンピューターや気象衛星は更新のたびに性能が上がり、情報の処理量は飛躍的に増えている。民間気象会社も近年、独自の観測網で精度を上げ、きめ細かいサービスを打ち出している。

 これらのデータは主に警報や雨量予想など、防災情報の発信に使われる。ビジネス活用としては、コンビニが飲料の需要予測に役立てる例などがある。だが、活用している企業は一部で、約1・3%(15年度情報通信白書)という調査もある。

 このところビッグデータとしての気象情報の利用価値が見直されている。防災はもちろん、過去の生産・販売実績など、企業の蓄積データと組み合わせることで、新しい使い方を掘り起こせるのではないか。

 気象庁は昨年、産官学による「気象ビジネス推進コンソーシアム」を立ち上げた。経営者に気象情報の価値を伝え、ニーズをくみ取る場にする狙いだ。農業や物流、IT企業など約300社がノウハウを学び、リスク管理や生産性向上を模索する。

 天気と人の流れの相関関係を調べ、タクシーや娯楽、イベントのほか建設関係など、これまであまり使われてこなかった業界での応用が期待される。

 ただ国が音頭をとる以上、環境負荷を軽減し、低炭素社会の実現や健康に寄与するといった、社会全体のメリットになる取り組みを中心に後押しすることが望ましい。

 たとえばエネルギー分野。太陽光発電の事業者向けに、1週間先までの予報から発電出力をはじき出せば、ぶれの少ない需給計画の作成に応用できる。医療では、病気と気象条件との相関を探り、治療や予防法の発見が期待できよう。

 牛乳など日配品の需要と在庫を天気から傾向分析し、最適な発注数を出して廃棄商品を劇的に減らした例もある。

 食品ロスなどむだを少なくする。エネルギー効率をアップさせる。そんな取り組みが各分野に広がれば、地球温暖化の抑制にもつながるだろう。

 膨大な情報を使いやすいように、気象庁も利用環境を整えるべきだ。古い観測記録のアーカイブも必要ではないか。

 気象ビッグデータの活用は、欧米で先行する。日本で民間による一般向け天気予報が解禁されて23年。官民の知恵で、情報を賢く役立てたい。

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