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 深刻な地方の医師不足の解消をめざして、医療法などの改正案が国会に提出されている。

 地域に必要な医師の数を算定した医師確保計画を、都道府県がつくる▽それにもとづき、自県や都会の大学医学部に対し、地元出身者枠の拡大や、地域で一定期間働くことを条件に入学を認める「地域枠」の設定を要請できるようにする▽卒業後の臨床研修先や定員を、国ではなく都道府県が決める方式に変える――などが柱だ。

 地方が権限をもち、主体的に考え、責任を引き受けるのは、本来あるべき姿だ。

 とはいえ、これで問題がただちに解決するわけではない。地元の大学、病院、医師会、学会が、それぞれの利害や立場を超えて、自治体と協力してとり組むことが不可欠だ。

 こうした医療関係者も加わる協議会は、すべての都道府県に設けられている。しかし形骸化しているものも少なくない。課題に向きあい、機能する組織に改めていく必要がある。

 医師の数は16年までの10年間で4万人増えた。だが都市部に集中し、同じ県内でも地域によって偏在がある。まずは住民の年齢や世帯構成、いま診療にあたっている医師の専門分布などを踏まえて、今後の医療ニーズを見極めることが肝要だ。

 県をまたいで生活圏が形づくられているところも多く、都道府県の垣根を超えた連携も求められる。調整のしくみを設け、実務を担う人材の確保や育成を急がなくてはならない。

 地方勤務を後押しするための条件整備にも目を配りたい。

 厚生労働省がおととし実施した調査では、医師の4割以上が都市部以外で働く意思を示す一方、ためらう理由として、労働環境や仕事内容、キャリア形成などへの不安を挙げた。

 交代派遣をシステム化して、一人に過度な負担が生じないようにする。地方にいても最新の知識や技術を学べるように、勉学の機会を確保する。そうした手立てに加え、地域医療の意義と魅力を伝える教育の充実にも力を入れてほしい。

 医学部生の3分の1は女性だ。出産や育児をしながら仕事が続けられる環境づくりも、これまで以上に大切となる。

 今年度から、内科や外科などの「専門医」を育てるための新しい制度が始まった。医療の質の向上をめざすものだが、研修への参加や指導で、医師が都市部の大病院に集中するのではないかとの懸念も強い。

 こちらとの両立を図るのもまた、医療界の重い責務である。

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