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 学校長らは、自治体がおこなった災害時の被害想定も疑い、独自の危機管理マニュアルをつくり、実践して、子どもを守らなければならない――。

 東日本大震災の津波で亡くなった宮城県石巻市立大川小学校の児童らの遺族が、市などに賠償を求めた裁判で、仙台高裁は学校側に極めて高い安全確保義務を課す判決を言い渡した。

 一審の仙台地裁は、地震発生後の教員らの避難誘導に過ちがあったと述べて、賠償を命じていた。これに対し高裁は、学校としてどんな防災体制をとっていたかに焦点を当てた。

 一審に関しては、極限状態での判断の責任を、現場にどこまで負わせていいのかとの疑問も出ていた。その意味で、二審が「事前の備え」に絞って審理を進めたのは評価できる。

 大川小は、市がつくったハザードマップでは津波の浸水予想区域の外にあった。高裁は、たとえそうであっても、学校はその信頼性を検討し、津波を想定した避難計画を立てるべきだったと指摘。市の教育委員会も指導を怠ったと結論づけた。

 踏みこんだ判断に、教育関係者には驚きもあるだろう。

 だが、学校や地域の実情に応じた対策を講じることは、学校保健安全法で義務づけられ、国からはマニュアルを定期的に見直すよう通知も出ていた。地震や津波だけでなく、他の災害や不審者の侵入も対象だ。

 判決は、様々な危険に対応できる実効性の高い体制の整備を、改めて学校側に求めたものといえる。子どもの生命・健康を預かる場であることを考えれば、当然の要請である。

 もちろんそれを、校長をはじめ現場の教職員だけに押しつけるのは非現実的だ。

 学校に期待される役割は近年増え続け、教員は長時間労働を強いられている。自治体の首長部局、専門家、地域社会が一体となって学校をサポートすることが欠かせない。

 とり組みは震災後から始まっている。石巻市では、市の防災担当者や有識者が、学校の対策をチェックするようになった。昨年3月に閣議決定された「第2次学校安全推進計画」にも、外部の知見を生かすことや教員研修の充実、先進的な事例の共有などが盛りこまれた。

 震災から7年が過ぎ、記憶の風化が心配される。判決を機に学校の安全についていま一度認識を新たにし、予算措置をふくむ支援を強めるべきだ。

 大川小の悲劇から学び、再発を防ぐ責任は、3・11を経験した私たち社会全体にある。

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