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 劉霞(リウシア)さん(57)という女性のことをご存じだろうか。

 中国共産党の独裁を批判して投獄され、昨年7月に亡くなった劉暁波(リウシアオポー)氏の妻。そして、本人も2010年、劉暁波氏のノーベル平和賞の受賞が決まる直前から、北京の自宅で軟禁状態に置かれている。

 中国当局は法的な根拠を何も示していないが、海外メディアなどとの接触を絶つための措置とみられている。通信や移動の自由を制限されたまま、すでに7年半の年月が過ぎた。

 「私は独りつぶやく。おかしくなりそうだ」

 劉暁波氏が亡くなった後、劉霞さんは知人への手紙にそうつづったと伝えられる。支援者たちは健康状態の悪化を心配している。中国を離れ、海外で暮らすことを希望しているといい、すでに複数の国が受け入れの準備に動いている。

 共産党政権を批判する人々が獄中に送られるだけでなく、その家族たちも自由を奪われる。こんな理不尽なことが、いつまでも許されていいはずがない。中国当局はすぐにも劉霞さんを自由にすべきである。

 盲目の人権活動家、陳光誠氏もかつて、刑期を終えて刑務所を出所した後、妻とともに自宅に閉じ込められた。

 子どもが学校に行くことも妨害され、窓から常に家族の生活を監視される日々が続くなか、陳氏は語っていた。「中国は巨大な監獄だ。そして、我が家はその真ん中にいる」と。

 ほかにも多くの家族が同じような境遇にある。劉霞さんだけでなく、この問題は今の中国の人権状況の深刻さを象徴的に示すものだ。

 習近平(シーチンピン)体制は言論への引き締めをさらに強化している。国際社会の懸念の声に対しても、巨大な経済力を背景に、開き直ったような強硬さを見せる。外国人記者が人権問題について質問をするだけで、逆に怒りだし、記者を批判し始める政府高官さえいるほどだ。

 共産党政権は何をそこまで恐れているのか。自国の人々に支持されているとの自信がないのか。中国を発展させ、豊かにしたと誇るのならば、異なる意見にも堂々と向き合うべきではないのか。

 劉暁波氏は「自分が中国で綿々と続いてきた『文字の獄』の最後の犠牲者となることを望む」と言っていた。

 残念ながら、その望みは現実となっていない。日本を含む国際社会は、この問題を引き続き注視し、声を上げ続けなければならない。

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