[PR]

 ■MOM’S STAND(マムズ スタンド)5月号

 放送開始から15年目を迎えた人気アニメ「プリキュア」シリーズ。今年始まった最新作「HUGっと!プリキュア」が、育児を盛り込んだ異例の設定で話題を呼んでいます。東映アニメーションの内藤圭祐プロデューサー(35)に、作品に込めた思いを聞きました。

 ――謎めいた赤ちゃんの「はぐたん」が空から降ってきて、登場人物たちがお世話をすることになります。なぜこうした展開に?

 15年目にあたって、今作では「最強のプリキュア」を描きたいという思いがありました。最強とは何だろうかと議論した結果、「赤ちゃんを守る母」ではないかと。

 シリーズではこれまで妖精のお世話を描いたことはあったのですが、描写の難しさもあって、赤ちゃんの育児はありませんでした。

 ■ワンオペの対極

 ――難しい点とは。

 プリキュアに変身する3人は中学2年生という設定で、育児の知識はありませんし、常に育児をすることもできない。それに視聴者の子どもたちへの影響を考えると、親にうそをついて赤ちゃんを隠して育てる展開にもできません。いろいろと無理が出てきてしまう。

 一方でプリキュアには仲間がいて、家族がいる。母親が一人で子育てを抱える「ワンオペ育児」が社会問題化していることも念頭にありました。ワンオペ育児とは対極の「支え合う育児」なら、プリキュアの世界観の中で描けるのではと考えました。

 作中では、様々な登場人物が育児を支えます。普段ハムスターの姿をしている「ハリハム・ハリー」は、人間の男性に変身して、ミルクをあげたり夜泣きで寝不足になったり。はぐたんが体調を崩したとき、主人公の野乃はなのお母さんも助けになります。

 第2話でプリキュアの一人、薬師寺さあやがマザー・テレサの言葉をつぶやくシーンがあります。「私にできないことが、あなたにはできます。あなたにはできないことが、私にはできます。力をあわせれば、きっとすばらしいことができるでしょう」。物語を象徴しているセリフの一つだと思います。

 ■家族像、多彩に

 ――家族の描き方も多彩です。第1話では野乃はなのお母さんが、お父さんに「今日は歓迎会で遅くなるかも。夕ご飯、お願い」と告げるシーンが印象に残っています。

 時代の流れの中で、多彩な家族像が物語の中に自然に溶け込めるようになりました。気をつけているのは、決まった家庭像が模範なのだとは描かないこと。野乃はなの家庭は両親が共働き。一方で薬師寺さあやは母親が大女優で、父親は専業主夫です。

 プリキュアは子どもたちに先入観を刷り込まないよう、例えば「野菜はおいしくないから嫌い」といったセリフは避けています。家族像も同じ意識で描いています。

 ――敵組織が企業という設定で、「稟議(りんぎ)」や「発注」、「今日は直帰しよう」などのビジネス用語が頻繁に登場することも話題です。

 今作は「無限の可能性のある未来」がテーマです。それを阻む存在として、後ろ向きで停滞していて……と議論していて浮かんだのが「ブラック企業」でした。

 ただ、放送が日曜朝ですから、デフォルメしても聞きたくない言葉はあると思います。敵の怪物の名前は「オシマイダー」なのですが、当初は残業をもじって「ザンギョーン」という案もあったんですが……ボツにしました。

 シリーズ開始当時に5歳だった子どもたちは今、成人を迎えます。長寿シリーズになるにつれ、親子二代で楽しめることも意識しています。今の子どもたちが大人になった時、番組を見返して「ああ、こんな仕掛けがしてあったのか」と楽しんでもらえるとうれしいですね。(信原一貴)

 ■プリキュア世界、デジタルでもっと

 「HUGっと!プリキュア」の内藤圭祐プロデューサーへのインタビューは、デジタル版でさらに詳しく紹介しています。

 プリキュアたちが育児で発揮する「支え合う強さ」は、戦闘シーンでもこだわって表現したといいます。「多彩な家族を描く」という配慮についても、具体的なシーンに触れてうかがいました。

 プリキュアの画像も多数掲載しています。

 http://t.asahi.com/pa2y別ウインドウで開きます

こんなニュースも