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 となりの韓国の大統領が6年半もの間、日本を訪問しなかった。今度こそ、この異常事態に終止符を打たねばならない。

 きょう東京で開かれる日中韓首脳会談に合わせ、文在寅(ムンジェイン)大統領が来日する。就任からほぼ1年たって初めて実現した。

 朝鮮半島情勢が歴史的な動きを見せている折でもある。これほど長い間、日韓の首脳の往来が途絶えていた問題の重さを考えねばなるまい。

 北朝鮮問題に限らず、地域の自由貿易圏づくりや、少子高齢化対策、エネルギー問題など、日韓には共通の課題が多い。

 とりわけ両国が直面する悩みは、長年頼りにしてきた米国の信頼性の低下だろう。安保・経済など各面で、トランプ政権は不確実さを増している。

 自由主義と市場経済の同じ礎に立つ日韓に、不毛な対立を繰り返す余裕はない。今回の文氏の来日を、首脳間対話のさらなる強化の機会とすべきだ。

 喫緊の課題はもちろん、北朝鮮をめぐる問題である。

 完全な非核化をどう達成するか。対話と圧力の使い分けをめぐる日韓の当初の隔たりは、南北会談などをへて徐々に埋まってきた。だがそれでもなお、問題の帰趨(きすう)を決める米朝首脳会談へ向けて考え方に溝が残る。

 自国の安全保障を占う重大な問題なのに、両国とも米政府を通じて互いの情報を得るという現実から抜け切れていない。米国の仲介を抜きにした自立した日韓対話が本来あるべきだ。

 そうした交流の進展を阻んできたのは歴史問題だった。

 李明博(イミョンバク)政権の時に慰安婦問題や竹島問題をめぐる紛糾は深まり、続く朴槿恵(パククネ)大統領は一度も来日しないまま途中で退陣した。今の文政権になって、何とか関係は回復基調になった。

 この滞りの間、政治の冷え込みが続きながらも、関係が発展した分野は少なくない。

 なかでも、日本の企業による韓国の若手の雇用が増えているのは特筆される。韓国の厳しい就職難を和らげる一方、日本側も人手不足を補う一助になりえる。互恵の好例だろう。

 協調の芽をさらに伸ばすためにも首脳外交は欠かせない。

 両政府はすでに、首脳同士が互いの国を行き来し合うシャトル外交の再開に合意している。今回は日中韓会談に合わせた訪問だが、特に行事がない平時にこそ、単独での往来を増やしたい。

 日韓両政府は、年内の文氏の再来日を模索している。なんとか実現させて、あと戻りのない両国関係を築いてほしい。

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