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 加計学園問題をめぐり、きのう国会で柳瀬唯夫・元首相秘書官らの参考人質疑があった。

 柳瀬氏が「本件は、首相案件」と述べたとされる愛媛県の文書が明らかになって1カ月。氏は、この文書が作られた15年4月だけでなく、2~3月と6月にも学園関係者と首相官邸で面会していたことを認めた。

 多忙な首相秘書官が3度も時間を割くという異例の対応をする一方で、他の事業者には誰とも会っていないという。

 国家戦略特区構想に基づく獣医学部の新設は「加計ありき」だったのではないのか――。その疑いはさらに深まった。

 なぜ加計学園はこんな厚遇を受けることができたのか。

 柳瀬氏は、安倍首相が別荘で開いたバーベキューで学園関係者と知り合い、その後、面会の申し込みに直接応じ、関係省庁の担当者も同席させたと述べた。それでも「学園を特別扱いしたことは全くない」という。

 さらに不可解なのは、一連の経緯について「総理に報告したことも指示を受けたことも一切ない」と断言したことだ。

 柳瀬氏は、首相は獣医学部を新設する政策を重視していたと強調した。その計画に首相の盟友が乗り出し、相談に乗ったというのに、何も伝えない。

 これが事実なら、首相と情報を共有して政策調整にあたる秘書官の職務を放棄していたに等しい。関係業者とのつきあいについて定めた大臣規範に触れることのないよう、首相に助言することもしない。不自然で、およそ信じることはできない。

 疑問だらけの柳瀬氏の説明の背景には、何があるのか。

 首相は、学園の獣医学部新設を知ったのは昨年1月20日だったと国会で答弁している。柳瀬氏が面会の事実を首相に伝えていたら、矛盾が生じてしまう。そうならないように、つじつまを合わせなければならない。そんな思惑から無理を重ねているのではないのか。

 質疑が終わると、自民党内から「疑問に答える大きな一助になった」と幕引きを図る声が上がった。耳を疑う話だ。「どうして全て正直に言われないのか分からない」という中村時広・愛媛県知事のコメントこそ、国民の多くの思いに沿う。

 柳瀬氏がこうした態度をとる以上、加計孝太郎理事長ら関係者を国会に呼んで話を聴くしかない。首相も、週明けにある衆参両院の予算委員会の集中審議で説明を尽くす必要がある。

 政権への信頼が大きくゆらいでいるのだ。正面から向き合う覚悟を、首相に求める。

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