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 光と影が悲しいほど先鋭に隣り合わせになっている。

 地中海に面し、関東地方の広さに満たない土地を分け合うイスラエルとパレスチナである。

 イスラエル建国から14日で70年となる。パレスチナ人にとっては、住む場所を失い、難民となる苦難の年月であった。

 4度の中東戦争を経て、いまやイスラエルは世界有数のIT国家としてめざましい経済発展をとげた。一方、パレスチナ人はいまだ自分たちの国を持てず、各地に散ったままだ。

 あまりに非対称なこの状況に出口がみえなければ、パレスチナ人の絶望は再び暴力に転化しかねない。隣国レバノンの武装組織やイスラエルと敵対するイランなども巻き込めば、深刻な武力衝突に発展するだろう。

 その緊張を和らげ、中東和平を築くには、最も影響力を持つ米国の仲介が欠かせない。歴代米政権は、双方の間でさまざまな対話の試みを重ねてきた。

 ところがトランプ大統領は建国70年に合わせ、米国の大使館をテルアビブからエルサレムに移す。イスラエルの首相らを招き盛大な式典を開くという。

 イスラエルはエルサレムの一部を軍事占領したまま「首都」と宣言した。国際社会は認めず米国を含めすべての国が大使館をテルアビブに置いてきた。

 なのに移転を強行するのは、一方の紛争当事者への露骨な肩入れであり、パレスチナの希望の芽を摘む。もはや仲介者になりえず、無責任すぎる。

 イスラエルと平和に共存するパレスチナ国家をつくる。この「二国家解決」を米国は主導し、国際社会も支持してきた。

 だがトランプ氏は一方的に基本姿勢を変えた。「過去の方策は失敗した」と言うが、ならば新たな具体策を示すべきだ。

 25年前のオスロ合意でパレスチナの自治が始まったとき、解決への道が開いたと思われた。

 しかし自治の現状はどうか。

 ヨルダン川西岸とガザに分断され、西岸の多くはイスラエルが管理している。人々は移動の自由さえままならない。

 国際法に反したイスラエルによる入植が進み、その人数は約60万に達した。「テロ対策」として作られた分離壁は450キロメートルに及ぶ。

 懸念すべき数字がある。昨年末の世論調査で、ガザと西岸のパレスチナ人の60%が「二国家解決は実現不可能だ」と答えたのだ。半年で8ポイントも増えた。

 日本を含む国際社会には、米外交が修復されるまで、粘り強くパレスチナ人の希望をつなぎとめる努力が求められる。

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