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 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案の審議が、先週、衆院法務委員会で始まった。今国会で成立すれば、1876(明治9)年の太政官布告によって「20歳」と定められて以来、約140年ぶりに成人の定義が変わることになる。

 時代を画する法案なのに、本会議での趣旨説明と質疑は大半の野党が欠席したまま、先月末に行われた。森友・加計問題などで国会が混乱するなか、与党が議事の進行を優先した。委員会には「日程ありき」ではなく、丁寧な審議を望みたい。

 選挙権年齢はすでに18歳になっている。若い世代が社会の一員としての自覚をもち、早くからさまざまな活動に参加することには大きな意義がある。

 だが現状では、引き下げがもたらす弊害への手当てが十分とはいえない。

 最も心配されるのは消費者被害だ。成人になれば、保護者の同意なしに、契約を結んだりクレジットカードを作ったりできるようになる。悪徳商法にねらわれる恐れが大きい。

 国民生活センターによると、20歳を境に消費者被害の相談件数が急増する。「ローン・サラ金」や「エステ契約」などが相談内容の上位になり、被害額も大きくなる。民法が変われば、18・19歳が新たなターゲットになると専門家は見ている。

 政府も手をこまぬいているわけではない。経験不足につけ込んで、恋愛感情を利用したり不安をあおったりして結ばれた契約を、消費者が取り消せるようにする消費者契約法改正案を、この国会に提出している。

 だがカバーできる範囲は限られる。路上などで呼び止めて勧誘するキャッチセールスや、マルチ商法による被害が救済できない可能性がある。知識不足から高額な商品を買ってしまった場合などにも取り消しを認める案も検討されたが、業者側の異論が強く、見送られた。

 内閣府におかれた消費者委員会や日本弁護士連合会は、こうした抜け穴の是正を求める意見を明らかにしている。これらも参考に国会で議論を深め、対策の強化につなげてほしい。あわせて、業者が若者にお金を貸すときの審査をより厳しくするなど、法改正を必要としない取り組みも進める必要がある。

 ほかにも、成人式の時期をいつにするのがいいかなど、人々が関心を寄せる問題は数多い。

 準備期間を経て、4年後の実施を目指す政府は先月、関係する省庁の連絡会議を設けた。多様な視点から検討を進め、万全の態勢で新成人を迎えたい。

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