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 きのう衆参両院の予算委員会で集中審議があった。柳瀬唯夫・元首相秘書官が先週の参考人質疑で、加計学園関係者との面会を認めた直後である。安倍首相の答弁が注目されたが、柳瀬氏の説明を追認するばかりで、「加計ありき」の疑念を晴らすには程遠かった。

 柳瀬氏は首相の別荘のバーベキューで学園関係者と知り合い、その後、首相官邸で3度面会し、獣医学部新設をめぐり意見を交わしたという。「加計優遇」は明らかだ。

 しかも、学園理事長と首相が親しいことを知りながら、首相には一切、この件の報告はしていないという。首相秘書官経験者を含め、「不自然だ」という指摘が相次いでいた。

 きのうの首相答弁はどうだったか。

 「国家の重大事でもない限り、途中段階で説明を受けることはほとんどない」と柳瀬氏の説明にお墨付きを与え、行政の公平性が疑われかねない累次の面会も「問題ない」。柳瀬氏が「本件は、首相案件」と述べたとされる愛媛県文書の内容を否定したことについても、「記憶をひもときながら、正直に話していた」と擁護した。

 この説明で納得する人がどれだけいるだろうか。

 首相はまた、特区選定の過程に瑕疵(かし)はないとの従来の説明を繰り返し、学園の「特別扱い」を否定した。学園の特区希望を正式に決まる昨年1月まで知らなかったという立場も崩さなかった。

 「国民から疑念の目が向けられていることはもっともだ」と一方で認めながら、追及が各論に及ぶと、逃げの答弁に終始する。言葉とは裏腹に、国民の疑念に真摯(しんし)に向き合おうという誠意は感じられない。真相解明にいまだ背を向けていると言わざるを得ない。

 前財務事務次官のセクハラ疑惑も同様だ。首相は「被害者に寄り添った対応、発言が求められるのは当然だ」といいながら、問題発言を繰り返す麻生財務相について「誤解を与える発言は撤回されている」。これでは、麻生氏をかばっていると見られても仕方あるまい。

 国会の残り会期は1カ月余りだ。首相は野党の批判をかわしつつ、このまましのごうとしているのだろう。国民に約束した「丁寧な説明」はどこに行ったのか。

 一つひとつの不祥事について事実関係と責任の所在を明確にし、再発防止策を講じる。政権への信頼を取り戻す道はそこにしかないはずだ。

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