[PR]

 ■ありがとう 夏100回 これからも

 2017年11月5日、秋季東京都高校野球大会の決勝が神宮球場であった。1967年以来、50年ぶりに秋季大会の決勝に進出した佼成学園が、日大三と対戦した。

 ネット裏に佼成学園元監督、今西錬太郎(93)の姿があった。かつての教え子たちが次々に歩み寄る。今西は「久しぶりだなあ」と笑顔で声をかけ、一人ひとりと握手を交わした。

 試合前のノックを見ながら今西が言った。

 「みんな肩が強いね。でも投手はたいへんだ。金属バットは、少々詰まっても力でもっていかれるからね」

 守り中心から攻撃重視へ。今西の監督時代と様変わりした。

 試合は八回終わって4―3と佼成学園がリードした。ところが九回、四球と野選などで迎えたピンチに連打を浴び、一挙8点を失った。結局、佼成学園は5―11で涙をのんだ。

 現在の監督は今西の教え子の一人、藤田直毅(55)。12年の第94回全国高校野球選手権西東京大会など過去7年間に4回、東京の大会で決勝に進出したが、優勝には届いていない。

 藤田は、選手が主体的に練習に取り組むよう、普段は個人練習に比重をおく。毎週火曜日は練習を休むが、野球への集中力がかえって高まったという。

 「ライバル校と同じ練習のやり方ではライバル校を越えることはできません。よそとは違うやり方で、あと一歩の壁を乗り越えたい」と藤田は言う。

 一方、今西はいま、東京都内の自宅に一人で暮らす。近くに息子夫婦が住むが、食事の用意や掃除など自分で何でもする。1合の晩酌が毎日の楽しみだ。

 甲子園球場で初めて中等学校野球大会が開かれた1カ月後、1924年9月に生まれた今西は、その人生の大部分を野球とともに歩んできた。

 「春夏の甲子園の開会式はテレビで必ず見ます。君ら、よう頑張ってここまで来たなあ。入場行進を見ていると、そんな思いにかられて、いくつになっても涙が出ますねえ」(上丸洋一)

こんなニュースも