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 国会でも、地方議会でも、選挙で男女の候補者数をできる限り「均等」にするよう、政党などに求める法律が成立した。

 罰則規定はない理念法で、これでただちに女性議員が増える保証はない。だがそれでも、大切な決断として評価したい。

 各選挙の投票率は低迷し、議会制民主主義の危機と言われて久しい。その主因は、有権者が「政治と自分」を結びつけるのが難しい現状にある。

 政治は、社会のあり方を決めるシステムだ。だが、今の国会を見て「私が暮らす社会の縮図だ」と思う人は少ないだろう。人々の生き方やニーズは多様なのに、政治はずっと男性中心の秩序で回ってきたためだ。

 行財政や外交の議論に、男女双方の感覚が十分反映されないまま、どうして社会全体に目配りできるだろう。女性議員が増えれば、今よりは複眼的な取り組みが担保される。

 男性優先から男女同列へ。そして性に限らず、肩書や組織などに寄りかからない自由な論議の場へ。多様な「リアル社会」の縮図に国会が変われば、政治はもっと身近になれる。

 今の衆院で、女性議員は約1割にすぎない。国際的にも日本の少なさは際だつが、もともと遅れていたわけではない。

 戦後初めて女性が参政権を行使したのは1946年の衆院選で、39人の女性議員が誕生した。当時と諸制度が異なるとはいえ、72年たってもまだ47人なのは、時代に対応して変えようとしなかったからだ。

 世界の議会で女性が増えたのは、強い意思の結果である。クオータ(割り当て)制の導入などで選挙制度を変えたり、党則で徹底したりしてきた。

 今回の法律で日本も前へ進めるかどうかは、有権者次第だ。どの政党がこの法を尊び、真剣に女性を増やすつもりか。男女の候補者数に格差がないか。男性の政党幹部だけで物事を進めていないか。

 それは、本当の意味で国民に寄り添う政治をめざす指標でもある。しっかりと見極め、投票しなければいけない。

 女性の立候補を阻む慣習や仕組みも見直すべきだ。言うまでもなく、子育てや家庭の切り盛りは男女共通の仕事である。

 クオータ制を採用した台湾では、政治家が密室で談議する夜の宴席が減った。男女均等の努力の先には、政治の透明化や議員活動の効率化なども望める。

 だれもが暮らしやすい社会づくりへの一歩。それを踏み出せるかどうかは、政党と有権者の意思にかかっている。

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