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 大学アメリカンフットボールで、競技の存立そのものを根底から揺るがすような、きわめて悪質なプレーがあった。

 日大と関西学院大の今月6日の定期戦で、パスを終えて無防備になった関学大のクオーターバックに、日大の選手が背後から激しいタックルを浴びせ、3週間のけがを負わせたのだ。

 なぜこんな反則行為をしたのか。世代別の日本代表にもなった選手で、乱暴なプレーを指摘された過去もない。一方で内田正人監督は試合後、「あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」「(選手には)プレッシャーをかけていた」などとコメントした。

 不信を抱いた関学大がチームとしての見解を求めたが、日大の回答はおよそ納得できるものではない。「指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていたことが問題の本質」として、選手の過剰反応が原因と受けとれる説明をしながら、指導の内容や事実関係の詳細については、確認中を理由に先送りにした。

 この間、内田氏は公の場に一切姿を見せていない。これも無責任のそしりを免れまい。

 誰が、どうやって調査しているのかも不明だ。内田氏は監督であるばかりでなく、5人いる常務理事の1人として、学内の人事を担当している。すべての関係者が不安や遠慮なく事実を話せるように、アメフト部にゆだねず大学本部が乗りだして、弁護士ら公平中立な第三者を中心とする調査態勢を築く。それが社会の常識だ。

 この不祥事にどう対処するか、大学の姿勢が問われていることを自覚する必要がある。

 日大が所属する関東学生連盟や、上部組織である日本アメリカンフットボール協会も、競技を統括する立場から厳しく臨むべきだ。試合当日、日大選手は問題のタックルの後も出場を続け、さらに2度反則を犯してようやく退場処分となった。審判の判断の当否も問われよう。

 体格が向上しトレーニング方法も進化するなか、危険なプレーは重大事故に直結する。安全管理の徹底はスポーツ界全体の大きな課題だが、大学スポーツは個々の大学や指導者任せの部分が多い。その指導者も、旧態依然とした意識や手法を引きずる人が少なくないのが現実だ。

 こうした姿を改めようと、スポーツ庁を中心に、大学スポーツのあり方を考える横断的な組織づくりが検討されている。時代にふさわしい運動部の運営と指導につなげるためにも、今回の問題を中途半端な形で終わらせることはできない。

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