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 安倍内閣が最重要法案と位置づける働き方改革関連法案の衆院通過に向けた動きが加速してきた。自民、公明、日本維新の会、希望が法案修正の協議を始め、衆院厚生労働委員会では22日に法案採決の前提となる参考人質疑を行うことも決まった。

 だが、年収の高い専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」への懸念、不安は、一向に払拭(ふっしょく)されていない。4党の修正協議も小手先のものだ。

 与野党そろって実質審議が始まってからまだ1週間余り。高プロの問題点や厚労省のずさんな調査をめぐる質疑に多くの時間が費やされ、同一労働同一賃金など、多岐にわたる論点が十分議論されたとは言い難い。

 すべての働く人にかかわる大事な法案を、拙速に採決することは許されない。政府・与党は、主要野党の求める高プロ削除の要求を踏まえて法案を修正し、議論を尽くすべきだ。

 4党の修正協議は、高プロの適用にいったん同意した人が、自らの意思で撤回出来る規定を法案に盛り込むというもの。形ばかりの同意で意に反して適用するような制度悪用の歯止めには、なりそうにない。

 そもそも、高プロで最も問題となっているのは、会社の残業代の支払い義務をなくして、際限なく働かされることにならないかという点だ。深夜・休日労働の割増賃金について、厚労省は国会で、働く人に負荷が高い働き方を抑制する目的と認めている。その規制すらなくして、どうやって働く人を守るのか。

 政府は、働く時間を自ら決める裁量のある人たちに対象は限られると強調するが、多くの職場で仕事量は自分では決められない。つい先日も、テレビ局の50代の管理監督者や、裁量労働制で働くシステム開発会社の20代の社員が、長時間労働で過労死認定されたことが分かった。

 高プロでは労働時間がきちんと把握されなくなり、過労死が起きても認定されにくくなるのではないか、との指摘もある。

 昨年、裁量労働制の違法適用で特別指導を受けた野村不動産では、05年から制度が悪用されていたが、過労死をきっかけにした昨年の調査まで、労働基準監督署は違法状態を見抜けなかった。高プロも悪用を見抜くことは難しいのではないか。そうした議論も不十分なままだ。

 安倍首相は昨年の施政方針演説で、電通の新入社員だった高橋まつりさんの過労自殺に触れ、「二度と悲劇を繰り返さない」と誓った。首相は自らの言葉を思い起こすべきだ。

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