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 「ない」とされた陸上自衛隊のイラク派遣時の日報が見つかった問題で、防衛省がきのう、調査結果を国会に報告した。

 最大の焦点は、昨年3月に陸自研究本部(現・教育訓練研究本部)で日報が見つかったのに1年近く、大臣らに報告がなかったことの経緯である。

 防衛省・自衛隊の隠蔽(いんぺい)体質の根深さや、政治が軍事に優先するシビリアンコントロール(文民統制)の不全を強く印象づけた不祥事だ。

 イラク日報は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)の日報をめぐる特別防衛監察のさなかに、研究本部の教訓課長が発見し、上司の総合研究部長に報告した。調査結果によると、両氏はともに、日報を探すようにという、当時の稲田防衛相の「指示」を認識しておらず、南スーダン以外は報告する必要がないと判断したという。

 防衛省は組織的な隠蔽は認められなかったとしており、事務次官以下17人の多くは比較的、軽い処分にとどまった。

 むしろ調査結果から浮き彫りになったのは、あまりにずさんな文書管理と、情報公開に後ろ向きな姿勢である。

 日報の公開請求を受けた教訓課の文書公開担当者は十分に調べもせず、日報の存在を知っていた課長に相談・報告することもなく、「ない」と回答した。情報開示に向き合う意識の低さは信じがたい。

 小野寺防衛相は再発防止策として、大臣の指示・命令を履行する体制の強化や、行政文書管理・情報公開のチェック体制強化などを発表した。これを、情報隠しを一掃する契機とできるか、その覚悟が問われる。

 防衛省・自衛隊の意識改革が急務だ。正しい情報がなければ政治家も国民も政策の是非を判断しようがない。情報隠しは文民統制の基礎を掘り崩すことを忘れてはならない。

 イラク日報で公開されたのは2004~06年の派遣期間全体の半分以下にとどまっている。まだ明らかになっていない関連文書も残っているはずだ。

 当時の小泉首相はじめ、政府は自衛隊の活動範囲を「非戦闘地域」と説明してきたが、その実態はどうだったのか。イラクから帰国後、在職中に自殺した隊員は15年時点で29人にのぼる。イラク派遣の闇は、なお残されたままである。

 日報に限らず、当時の記録をできる限り公開し、自衛隊初の「戦地派遣」の実相を徹底的に検証する必要がある。そのためにもまず、情報隠しの悪弊を断ち切らねばならない。

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