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 将来を嘱望された選手が、なぜ悪質なプレーに走ったのか。どんな経緯があったのか。

 日大アメリカンフットボール部の選手が関西学院大学との定期戦で危険なタックルをして、相手選手にけがを負わせた問題は、収束・和解に向かうどころか混迷の色を深めている。

 最大の責任は、事態を甘く見て不誠実、非常識な対応をくり返してきた日大にある。

 22日に記者会見した選手は、監督やコーチの指示を受けて、故意の違反行為に及んだと打ち明けた。その内容や自らの精神状態を具体的に語り、関学側への謝罪の言葉を連ねた。

 これに対し、1日遅れて会見した前監督とコーチは、けがをさせることを目的とした指示はしておらず、誤解した選手に問題があるとの説明に終始した。

 主張がこうも食い違う以上、客観的な立場からの解明が必要だ。日大は遅まきながら第三者による調査委員会を設けるという。中立公正なメンバーを選任し、事情を知り得る他の部員からも丁寧に聞き取りをして、速やかに社会に報告すべきだ。

 危険プレーに対する見解を求めた関学に対し、日大は当の本人に話を聞くことすらせずに回答していたことも、選手が会見してわかった。こんな無責任な姿勢が許されるはずがない。

 二つの会見を通じてはっきりしたこともある。日大アメフト部がとってきた、いかにも時代遅れで閉鎖的な指導法だ。

 選手と監督が話をすることはめったになく、指示はコーチが伝える。問題の選手は突然、日本代表チームへの参加を辞退するよう命じられたが、理由は説明されない。選手の発奮を促すためと称して、練習に参加することも許さず、追い込む。

 こうした一方通行の手法がまかり通っているとは驚きだ。

 近年は、国内外に留学して、最先端の練習方法やコーチ術、医学知識を習得し、科学的な指導に取り組む例が少なくない。体づくりや技術だけでなく、ストレスをどう制御するかなど、心理面でも専門家と協力して選手を導く動きが広がる。

 これに比べると日大アメフト部の異様さが際立つ。ゆがんだコーチングは選手を、そしてチームを不幸にするだけだ。

 「もう大人なのだから自分で善悪を判断すべきだった」と選手に苦言を呈する声もある。だが学生にとって指導者の存在は極めて大きく、だからこそ、その責任は重い。これからの学生スポーツのあり方を考えるうえでも、背景までしっかり掘りさげた調査を求める。

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