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 電線を地中に通す工事を進めて、20年度までの3年間で、全国の延べ1400キロの道路から電柱をなくす――。

 国土交通省が先ごろ「無電柱化推進計画」を定めた。16年暮れに施行された法律に基づくもので、今後の指針となる。

 年を区切って具体的な目標を設定したのは評価できる。だが一歩を踏み出したに過ぎない。

 計画は、防災▽安全・円滑な交通確保▽景観形成・観光振興の三つの観点から、地中化を優先する道路を決める考えを打ち出した。なかでも重視すべきは「防災」だ。

 東日本大震災や阪神大震災では、倒れた電柱が人や車の行く手をふさいだ。その苦い体験を忘れずにいたい。

 電柱は約3600万本あり、宅地開発などで今も毎年7万本増えている。計画は「電柱を減少に転じさせる歴史の転換期とする」とうたい、災害時に緊急輸送に使われる道路での新設を制限し、自治体にも同様の措置をうながすとした。

 緊急輸送道路は、避難、消火活動、物資運搬の動脈で、被災後の復旧作業にも欠かせない。多くは国道だが、つながる県道や市道の機能を維持することも大切だ。計画を受けて、自治体や電力、通信各社は重要な路線を確認・点検し、無電柱化を積極的に進めてほしい。

 残念なのは、電柱方式の約20倍かかるとされる地中化の費用をどう手当てするか、目新しい策が示されなかったことだ。

 事業者が自主的に地中化する際に交付金を出す案は盛りこまれたが、具体的な金額や補助率への言及はない。また、電柱をたてるときの道路占用料を値上げするといいながら、実施時期は未定だ。本気で地中化を進めるのなら、詳細をできるだけ早く示す必要がある。

 工法の簡素化も急ぎたい。共同溝などを造らず、電線を直接埋めると費用は3割で済むが、耐久性に課題があるとされる。先行する外国のとり組みも参考に、国が手法を定め、導入にめどをつけてもらいたい。

 「日本初の電線のないまち」をめざす兵庫県芦屋市は、埋め立て地を中心に電線の地中化を進め、市道の無電柱化率は12・4%まで進んだ。京都市は古都の風情を残すため、先斗町(ぽんとちょう)などで電柱の撤去を始めている。

 全国の首長約280人による「無電柱化を推進する市区町村長の会」は来月、東京で総会を開き、情報共有などを進める。

 安全で災害に強く、景色も美しい。そんな街づくりを、各自治体で競い合ってはどうか。

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