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 政府の新しい財政再建計画が固まった。

 借金に頼らず毎年度の政策経費をまかなえるかを示す基礎的財政収支(PB)黒字化の時期は、従来の20年度から25年度に先送りする。一方で、国内総生産(GDP)と比べる三つの指標で、21年度の時点で再建の進み具合を検証するという。

 ところが、肝心の新たな指標が甘く、緩みがちな歳出への歯止めになりそうもない。実効性のある歳出抑制の仕組みが不可欠だ。来年度の予算編成に向け、議論をやり直すべきだ。

 20年度のPB黒字化は、早くから達成が絶望視されていた。そんななか、安倍首相は昨秋の衆院解散の際、消費税収の使途を教育無償化にも広げる政策変更とともに目標の断念を表明し、新たな計画を作るとした。

 新しい三つの指標では、21年度時点のGDP比で(1)基礎的収支の赤字を1・5%程度(2)国と地方の債務残高を180%台前半(3)借金の利払い費も考慮した財政収支の赤字を3%以下、にするという。

 このうち、国と地方の債務残高と財政収支赤字の比率は、1月に内閣府が示した中長期の試算で、経済成長が低めに推移した場合でも21年度に達成できる見通しになっている。基礎的収支の赤字の削減が進まなくても「財政再建が進んでいる」と見せるために、指標に採用するのではないのか。

 安倍首相が秋の自民党総裁選で3選されても、任期は21年秋までだ。財政再建の目標時期そのものは25年度へ先送りし、21年度までは甘めの指標で財政運営の自由度を得る。そんな意図が透けて見える。

 政府が6月に決める予定の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)には、この財政再建計画とともに、来秋の消費増税に備えた経済対策を19、20年度の当初予算に盛り込むことも明記されそうだ。経済の変動をならすために政策で柔軟に対応することは必要だろう。しかし、有効な歯止めを欠いたまま歳出増加の議論が先行するのは、いかにも危うい。

 新たな三つの指標は、一昨日の経済財政諮問会議で民間議員が提案した。その後、わずかな議論だけで骨太の方針に盛り込まれる方向だ。

 再建計画は前提の経済成長率が高過ぎるなど、これまで指摘されてきた問題点はそのままだ。現実的な見通しのもと、足元の景気に目配りしつつ、どうやって財政を再建軌道に乗せるか。その道は容易ではないからこそ、徹底的な議論が必要だ。

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