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 国有地の不透明な大幅値引きも、それに関する決裁文書の改ざんや記録の廃棄も、刑事責任を問うことはできない――。

 森友学園をめぐる問題を捜査してきた大阪地検特捜部は、佐川宣寿・前財務省理財局長らを不起訴とする処分を発表した。

 土地取引には納税者への背信の疑いが消えない。文書の改ざんと廃棄は、行政の存立そのものを根底から揺るがす。国会では、書き換えられた文書を前提に、実に1年以上にわたって質疑と答弁が交わされてきた。

 いずれも民主主義を破壊し、主権者である国民をあざむく重大な行為である。罪なしとする検察の判断に、納得がいかない人は多いのではないか。

 地検は記者に対する説明の場を設けたが、刑法の規定や解釈を踏まえた抽象的な物言いに終始し、細部にわたる質問については、関係者の名誉やプライバシーを理由に回答を避けた。

 佐川氏らを告発した市民団体などは、検察審査会に審査を申し立てる構えだ。審査会では、検察は処分の理由について丁寧な説明が求められる。市民から無作為に選ばれた審査員がどう判断するか。引き続き大きな関心をもって見守りたい。

 忘れてはならないのは、刑事責任と、政府が負う責任、そしてその政府を監視する国会が果たすべき責任とは、まったく別だということだ。

 財務省は週明けにも、文書の改ざんと廃棄について、省内調査の結果と関係者の処分を発表するという。今回の不起訴処分とあわせて、政府は幕引きを急ぐ考えだろうが、森友問題の核心は未解明のままだ。

 それどころか、最近になっても、問題の国有地のゴミの撤去費用を算定した国土交通省に対し、財務省が働きかけて値引き額を上積みしていたことがわかった。また、安倍昭恵氏付だった政府職員が、優遇措置を求める学園側と財務省をつないでいたことをうかがわせる文書も、新たに見つかった。

 ところが麻生財務相は無軌道な発言をくり返し、安倍首相も真摯(しんし)な議論から逃げ続ける。政権のトップ2人のこうした振る舞いが、政治に対する国民の不信をいかに深めているか。

 政府がこんなありさまだからこそ、国会の責務は重い。とりわけ考えなければならないのは与党議員である。

 問われているのは政治のあり方そのものであり、うやむやにして犠牲になるのは、この国の民主主義だ。その認識と自覚をもって、最終盤の国会審議に臨んでほしい。

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