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 日本大学アメリカンフットボール部をめぐる問題で、関東学生連盟は内田正人前監督ら2人の除名処分を決めた。悪質なタックル行為は、監督らの指示によるものだったと認定した。

 多くの関係者から聞き取りをし、残されていた映像や音声データなども調べたうえでの判断だ。連盟の会見内容は大筋で納得できるものだった。

 「監督が黒といえば白いものも黒だ」。そんな空気が部全体を覆うなか、選手は精神的に追い詰められ、反則に及んだという。学連が指導者の責任を厳しく追及したのは当然である。

 だが、これですべてが決着したわけではない。肝心なのは、むしろこれからだ。

 今回の調査によって、日大では選手に度を越したプレッシャーをかける指導がくり返し行われ、部内で「はまる」と表現されていたことなどがわかった。

 だが、そうした異常な実態が容認・放置された背景や、この間、日大側が責任を認めることを拒み、かたくなな態度をとってきた理由までは解明されていない。それは、学連でなく日大が自らの手できっちり調べ、社会に説明しなければならない。大学のあり方の根幹にかかわる極めて重要な問題だ。

 日大が設置を表明した第三者委員会は、こうした点にも踏みこんで人々が納得できる調査をする必要がある。そうやって初めて、チームの出場資格停止処分を解除する条件である「再発防止策の策定」や「抜本的改革」は内実を伴うものとなる。

 日大アメフト部では昨年初め、約20人もの部員が退部する騒ぎがあった。大学当局が原因を調べてしかるべきなのに、先日会見した大塚吉兵衛学長は、この事実を知らなかったと述べた。学内の課題を共有し、解決していく仕組みが、整っていない証左ではないか。

 部活動は本来、学生の自由な意思に基づくもので、自主性が最大限重んじられるべきだ。一方で近年、大学のブランド・経営戦略を進める際の重要なツールになっている。利用するだけでなく、健全な活動環境を整える責務が、大学にはある。

 反則行為をした選手は「監督らからのプレッシャーがあっても、自分で正常な判断をするべきだった」と語り、アメフト部も、指示に従うばかりで自分たちの頭で深く考えてこなかったことを反省する声明を出した。

 組織の論理やあしき慣行にからめとられず、ひとりの個人としてどう正しく生きるか。今回の事件は、そんな重いテーマも、社会に突きつけている。

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