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 全国犯罪被害者の会(あすの会)が、きのう都内で開いた大会を最後に解散した。これまでの活動で一定の成果をあげ、役割を終えたと判断した。

 00年の発足以来、「犯罪被害者の権利」を明記した基本法の制定、被害者が刑事裁判で被告人らに直接質問できる「被害者参加制度」の導入、死刑に相当する犯罪の公訴時効の撤廃などにとり組み、刑事司法を変える原動力になってきた。

 被害者は長い間、捜査当局が有罪を立証するための証人、あるいは情報提供者の地位に追いやられ、正当に扱われてこなかった。犯罪による直接の被害に加え、制度の不備や理不尽な運用によって傷ついた人々が、将来の被害者に同じ思いをさせてはならないと尽力する。それがこの18年間の歩みだった。

 基本法は、被害者支援を「国、自治体、国民の責務」と定める。会の解散を、残された課題をあらためて確認し、今後の施策を考える契機にしたい。

 最大の問題は、元の生活を取り戻すための支援の立ちおくれだ。心身にダメージを負った犯罪被害者の多くは、同時に経済的な困難にも直面する。

 被害者や遺族に給付金を支払う国の制度はある。だが、さまざまな条件がつき、額も限られる。加害者側から賠償金を得ようとしても、相手に支払い能力がなかったり、どれだけ財産を持っているかの調査が難しかったりで、多くの被害者が泣き寝入りを強いられている。

 英国やドイツでは、暴力犯罪の被害者に国や州が直接補償する。北欧には、国がまず被害者に補償金を支払い、加害者から回収する「立て替え」の仕組みを持つ国がある。兵庫県明石市は同様の措置を4年前から始めた。こうした内外の事例も参考に、制度づくりや財源について検討を進める必要がある。

 事件発生直後のくらしのサポートも十分とはいえない。

 犯罪に巻き込まれると、買い物などの日常生活もままならなくなる。そこを手助けしようと、たとえば名古屋市はことし4月に新たな条例を施行して、ヘルパーの派遣や配食サービスなどを始めることにした。

 身近な自治体ならではのきめ細かな対応だが、一方で、住む場所によって支援の内容に大きな違いがあるのは好ましいことではない。やはり国が先頭に立って、全体の水準を引き上げていく必要がある。

 犯罪には誰もが巻き込まれる可能性がある。被害者対策をさらに充実させる道を、「わがこと」として考え、探りたい。

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