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 先週末にカナダで開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、通商問題をめぐり、米国とその他6カ国の対立が鮮明になった。「米国第一」を掲げ暴走するトランプ政権を、どのように御するのか。過去40年にわたり、国際協調の要となってきたG7の真価が問われる局面だ。

 米国は、すでに日本などに適用している鉄鋼・アルミ製品への高関税を、会議の直前に欧州やカナダにも発動した。議長国のカナダは「開かれた貿易や世界経済への信頼を損なう」として、米国を名指しで批判する声明を公表。「1対6」の構図が決定的になった。

 高関税は、安全保障を理由に輸入制限を認める米通商拡大法232条に基づく。トランプ政権は、同じ条項を根拠に自動車にも高関税を課すことの検討に入っている。

 世界貿易機関(WTO)は安保を理由にした輸入制限を認めているが、戦時などを想定したものであり、今回の米国の行動は筋違いだ。批判が噴出するのは当然であり、対立の一義的な責任は米国にある。

 トランプ政権の「米国第一」に名を借りた保護主義は、主要国が築いてきた自由貿易体制を危機にさらしている。世界経済の発展を妨げるだけでなく、米国民の利益にもならない。ただちに方針を改めるべきだ。

 今週末にはG7の首脳会議(サミット)が開かれる。この場でも、日本を含む6カ国は、米国の誤りを粘り強く説き続ける必要がある。安倍首相がトランプ大統領との良好な関係を誇るのであれば、今こそ説得の先頭に立たねばならない。

 サミットはフランスの呼びかけで1975年に始まった。ドル・ショックや石油危機など、戦後の米国主導の経済体制の揺らぎが背景にあった。その後、G7の枠組みは、主要国が経済政策の協調を話し合う場として機能してきた。同時に、民主主義や人権、法の支配などの価値の担い手として、国際秩序を安定させる役割も期待されるようになった。

 中国など新興国の経済成長を受け、リーマン・ショック後にはG20も発足した。しかし、この20カ国・地域が価値観を共有しているとは言えず、G7に代わる存在にはなっていない。

 米国だけでなく、欧州も移民問題や経済格差の広がりで体制の足元が揺らいでいる。波乱を乗り越え、より豊かで安定した国際社会をどう築くのか。主要国は改めて協調の道を探らねばならない。

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