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 決裁文書改ざんのそもそものきっかけは分からずじまい。安倍首相夫妻への忖度(そんたく)の有無は聞いていない。やはり財務省の内部調査には限界がある。国会に特別委員会を設け、第三者の視点から、疑惑の全容解明に取り組むべきだ。

 森友学園との国有地取引をめぐり、財務省が発表した調査報告書の内容に、野党のみならず、与党の一部からも批判があがっている。政権が期待した「幕引き」には程遠い。問題の核心が抜け落ちているのだから、当然である。

 報告書は、改ざんや文書廃棄の指示から実行まで、すべてが財務省の理財局と近畿財務局内で完結していたと結論づけた。大臣や事務次官だけでなく、国会対応や文書管理に責任を負う官房長も知らなかったという。

 首相の妻・昭恵氏が名誉校長を務める学園に対し、国有地が8億円もの大幅値引きで売却されていたという事案である。首相夫妻の関わりが最大の焦点だったにもかかわらず、首相官邸に相談もせず、理財局の中だけで処理していたというのは、むしろ不自然ではないか。

 首相が「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」と国会で答弁した直後の昨年2月22日、財務省理財局と国土交通省航空局が菅官房長官に対し、昭恵氏付の職員から財務省に照会があったことを伝えたと、報告書には記されている。決裁文書から、照会に関する記述が削られたのはその後だ。

 今回の調査範囲は財務省内に限られ、首相官邸や国交省の関係者、昭恵氏付の職員らからは話を聞いていないという。最初から責任を財務省内の一部官僚にとどめようとしたと見られても仕方あるまい。これでは到底、問題の全容に迫ることはできない。

 だいたい、森友問題の本質といえる大幅値引きの妥当性についての検証は今回、一切、行われていない。もはや政府に任せるのではなく、行政監視の役割を担う国会が、値引きの経緯を含め、調査をやり直すべきだ。

 自民党の石破茂・元幹事長は「国民の割り切れなさ、納得のできなさはずっと引きずる。これは与党の中の自浄作用の問題だ」と語った。その通りである。竹下亘総務会長も党独自に検証する考えを示したが、お手盛りとの批判を招かぬよう、ここは与野党で国会に特別委員会を設置し、会期をまたいででも解明に努めるのが適当だ。

 国民を代表する国会が、行政府に欺かれたのだ。問題をあいまいに終わらせてはならない。

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