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 各地で梅雨入りし、雨の多い季節となった。この時期は毎年のように土砂災害や河川の氾濫(はんらん)が起きる。早い段階から避難路を確認・点検するなど、万全の準備をしておきたい。

 梅雨の時期は40日ほど続く。特に西日本では後半に豪雨になることが多い。南海上から暖かく湿った空気が流れ込み、前線の活動を活発にするためだ。

 昨年の九州北部豪雨は7月5日から6日にかけて起き、死者・行方不明者は42人にのぼった。九州や中国、東海などで計21人が亡くなったり不明になったりした2010年の豪雨も、7月中旬に集中した。

 雨が長引けば地盤がゆるみ、山間部では地滑りや鉄砲水が起きやすくなる。地方整備局など関係機関は、入念にチェックして、危険箇所があれば早めの避難を呼びかけてほしい。

 大切なのは、地元の気象台と自治体との緊密な連携だ。

 昨年7月下旬、東北に停滞した梅雨前線で秋田県が豪雨に見舞われた。このとき秋田地方気象台長は、大仙市など7市5町の首長の携帯電話を鳴らし、洪水の危険性を具体的に伝えた。それぞれの市町が避難勧告を出すなどしたため、2千棟以上が浸水被害にあったものの、死者やけが人は出なかった。

 実はこの台長には苦い経験があった。盛岡地方気象台長だった16年夏、台風10号で高齢者グループホームの入所者9人が犠牲になった大雨に遭遇した。自治体に危機感を十分に伝えられなかった教訓から、秋田に異動した後、各首長を順に訪ね、電話番号を交換したという。

 一方で秋田豪雨では、知事や県幹部が県外でゴルフをしていて、初期対応に遅れるという一幕もあった。何と言っても県は防災の要だ。日ごろから気象情報に注意を払い、危機管理の職責を全うしてもらいたい。

 気象庁は先月、自治体を手助けする「防災対応支援チーム」(JETT)を発足させた。全国の職員の約3割にあたる約1700人を登録し、災害の発生前や直後に、自治体の対策本部に送りこむ。派遣された職員は気象状況を解説し、的確な避難情報を出せるよう助言する。

 情報は生かされてこそ価値がある。こうした仕組みをうまく機能させるためにも、平時から双方が「顔の見える関係」を築いておくことが欠かせない。

 住民一人ひとりの備えも大切だ。日ごろから自宅周辺の地形や構造物の状況を頭に入れ、緊急時の対応を家族や地域で話し合っておく。そんな心がけが、命を守る行動につながる。

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